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第十六話

「ううう。あれ?ここはどこ、オレはいったい?」

「ベタな記憶喪失からの復帰キャラを演じるんじゃないわよ。人間界に戻れたはずだわ。ちゃんと、五百円を食べてからやったからね。グレードアップした神痛力が発揮できたはずよ。でもここはどこかしら?大悟の顔が見えないわね。」

「楡浬。周りが白くて、視界が悪いぞ。」

「確かに白いわね。まさか、あの場所に戻ったってこと?」

「そうじゃないよ。ここはうちのお風呂場だけど。いい湯加減だぞ。」

具体的には湯船に浸かってるふたり。

「きゃあああ!こののぞきま、どヘンタイ!!!」

「この前の神聖なる儀式の続きという解釈が成り立つ、・・・わけないか。」

「バカ~!!!」
風呂の窓をけたたましく破壊して、颯爽と広大な宇宙に飛び出した宇佐鬼大悟という超新星が誕生した。これで二個目か?


「お兄ちゃん。今日もモモがいちばんだからね。早く登校のチュー、ちょうだい。」

「このポーズでそれを言うな。お姫様抱っこしながら、顔を下に持っていくなんて姿勢は中国雑技団でなければできないワザだ。」

「じゃあ、下からアプローチするよ。それなら届くかも。」


「それも無理だ。背中の亀を支えるには背筋力を最大値に持っていく必要があるからな。」

「馬嫁下僕。アタシが悪いみたいなことを言うんじゃないわよ。これはご主人様であり、神楽天シルバーカードホルダーのアタシに許された特権なんだからね。」

 大悟は楡浬をおんぶズマンしながら、桃羅をお姫様抱っこしているという、体重バランスをよく考えた体勢をキープしている。

 騒がしい三人をよそに、白いセーラー服と黄金色のブレザーの二人組生徒たちは普段通りに登校している。馬女子生徒たちの手足はもちろん、からだもしっかり存在している。
 馬女子生徒をイジメながら登校する三人寒女の姿もいつもの通りであった。

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