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「大丈夫?えっと」

 タマがボクの方を見る。

「僕の名前は、ボクだよ」

「そっか、ボク。
 ボク、どこで産まれたの?」

 タマが優しく言った。

「わからないんだ。
 僕は捨て子だから」

「そっか。
 あのね、もしここを出れたら詩空孤児院を尋ねて」

「え?」

 ボクには何のことだかわからない。
 すると部屋の外が騒がしくなる。

「逃げるよ。
 ボク」

 タマが、そういったとき。
 尻尾が7本になっていた。

 そして、一本の尻尾を刀に変えた。
 その刀で壁を切る。
 穴が開く。

「ここから逃げて、詩空孤児院ならあなたを護ってくれる。
 あなたの能力もそこで発動しない」

「でも、タマさんが……」

「私ね、妹がいるの。
 あなたと同じくらいの歳のね。
 だから、おせっかいを焼くね」

 タマが優しく微笑む。

「タマさんは、逃げないの?」

「うん、私は戦うわ」

「誰と?」

「テオスという敵と」

「テオス?」

「時間がないから早く逃げて。
 なにがあっても絶対に振り返らないで」

 ボクは覚悟を決めて逃げた。
 雨が降ってきた。
 ボクと同じ歳の子どもがいた。

「あの君も逃げたほうがいいよ!」

 ボクは、その子どもコレクターに誘拐された人だと思った。

「逃げる?僕が?」

「え?あ、うん」

「逃げるってことは、誘拐された子か……」

 子どもの言葉にボクは思った。
 もしかして、この子も敵なのかと。

「逃げるのは君の方だよ」

 ボクは警戒した。

「早く!ここは僕が持ちこたえさせる」

「君は誰?」

「僕は、13。
 それ以下でもそれ以上でもない」

「13くん?」

「うん、君はどうするの?」

「僕はここに残る」

「え?」

「僕も戦う。
 君は逃げて」

「でも……」

 ボクの言葉に13はうなずく。

「僕は傭兵なんだ。
 だから戦う」

 13は、手のひらの銃を召喚した。
 そして、ボクに向かって撃った。
 銃弾はボクにかすめることなく後ろに飛んでいった。

「ぐあ」

 後ろから悲鳴が聞こえる。

「え?」

 ボクが振り返るとオークが一匹胸を押さえて倒れている。

「さぁ、逃げて……早く!」

 13の言葉にボクは頷きそのまま走り去った。

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