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 ドン!
 鈍い音が響く。
 殴られた音。

「はははっはは!
『ドン!』だって!
 おっもしれー」

 殴られたのは、鋼ボク。
 殴ったのは、ジル・ジルベルト。
 ボクは虐められ。
 ジルは虐める。

 幼馴染ではあったものの馴染みがあるだけで、友好関係にはない。
 ボクには友だちはいない。
 ジルには友人はいた。

「鈍臭いを音で表現したんじゃないの?」

 金髪の美少女ベルがそういった。
 ベルは、ジルの彼女。
 高校生でモデル業も務めている。
 ナイスバディーな女子高生だ。

「上手いこというじゃねぇか」

 ジルが、何度も何度もボクを殴る。

 ドン。ドン。ドン。

「コイツを殴るとスッキリするんだ」

 ボクは生まれてこの方ずっと虐められている。
 ボクを虐めるのはジルだけじゃない。
 親も親戚も兄弟もみんなボクを殴っていた。

 そして、今。
 ジルの次に発するジルの言葉によりボクの運命を変えようとしていた。

「なぁ?ボク。
 金持ってこいよ」

「え?」

「銀行あるだろ?金をもってこい。
 降ろしてこい」

 ボクは金など持ってなかった。
 でも、銀行に行かなければもっと殴られる。

 ボクは怖くて逃げるように銀行へ向かった。

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