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魔石獣クリスタリオン:2

そんな歴史が突然大きく進んだのが、わずか30年前、

 今まで絵空事だった異世界の存在を示す、『ゲート起動事変』により、我々の知らない世界の物が大量に流れ込んできた。

 『夢の塊』と呼ばれたそれらを徹底的にに調べ上げた我々は、まったく別の異界の技術に触れ、歴史の針が大きく進む。

 内燃機関の誕生、人よりも精巧な機械技術、電気信号を変換することで人間の頭脳の再現ができる技術、遠見のガラス機械、小型通信機……

 産業と技術の革命はすぐに世界中に広まった。

 鉄道や内燃機関に頼る機械によって今まで信じられない速度で人も物も運べるようになった。

 戦争の方法も大きく変わった。
 武器の威力や殺傷性と共に死傷者も増え、逆にそれらに対処すべく発達した医療技術によって治る怪我人や病気も増えた。

 そして………当然クリスタリオンも変わった。

 胴体は、一部が鉄や駆動機械に置き換わり、人が中に入り操縦するようになり、補助としてに魔術計算機(コンピュータ)が介入し操縦がとても容易になり、より力強くより強力になった。
 こんな改造にもクリスタリオンはいとも簡単に順応し、大部分を人工物に置換しても生きてその生命力から出る魔力を十分に発揮した。

 30年で全てが変わった。
 変わらないのは人間、異種族の戦争をする理由だけだった。



 こうしてクリスタリオンは、
 名実ともに、この星最強の兵器となった。

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