チート転生者があふれて異世界が大変なことになってます
はあ……。まだ年が明けて間もないというのに、今年に入ってもう何度目になるか分からない深いため息をつく。私は、魂の安息の世界『フー=イー=ナム』で、神のために働く『天界第一補佐官』。
神でも逆らえない掟の一つに「
しかし、この転生者というのが実に
まあ、ここはまだいい。問題なのは強すぎる力だ。転生者の治める二つの大国が戦争状態に陥り、超破壊魔法によって数十万を超える死者の魂が一度に天界に送られてきたことがある。天界補佐官総出でパニック状態になりながら処理したのだが、戦争の原因を調べると、美少女の奪い合いという極めてしょうもないものだった。
別件では、冒険者となった転生者が東の大陸のドラゴンを狩り尽くして絶滅させてしまい、深刻な生態系の危機を招いている。
また、生前の知識を活かして『原子力発電所』なる代物を造った者がいたが、制御しきれず大爆発させ、土壌汚染でかなりの広範囲が生き物の棲めない土地になってしまった。
この他にも異世界の科学知識を持ち込む転生者が後を絶たず、保守派の天界補佐官から強い反発が多数私に寄せられる。中間管理職に過ぎない私に言われても困るのだが、こう言った声を受け止め、はけ口になるのも仕事の内なので仕方ない。
即死魔法使いとなった転生者が、面白半分に人を殺しまくるので説得に赴いたことがあるが、話を聞き入れるどころか問答無用で殺された。まあ、私は天界の住人であるから
神でも逆らえない掟のもう一つに、「
今しがた、一度に四十人の転生者が現れた。学校の一クラス丸ごと死ぬ羽目になったらしい。私の憂鬱は続く――。