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四話

 私は、結局十歳まで屋敷にいて体を鍛えつつ、色々学んでいた。
 未だに会話はろくにできない。必死に文字を勉強する毎日である。
 元日本人としては、表音文字を熱望する。全てを漢字で書くとかありえない。中国人は皆天才に違いない。そして言うまでもなく、雷竜扇はとても天才である。
 植物の形と調合方法は、すぐに覚えられたのだが。
 さて、十歳。この国では、貴族が通う学校は二種類ある。
十歳から十五歳まで学ぶ基礎課程と、十五歳から二十歳までの応用課程である。
小学校と大学があって、間がないと思ってくれて構わない。
ちなみに、基礎課程から既に専門職について学ぶので、十歳までに道を決めておかねばならない。

選ぶ職業の専門課程に入るのがこの年令である。
 専門課程は薬師だが、まあ異存はない。軍人の課程の魔物退治には興味があるが、団体行動は苦手である。あれは皆殺ししてはいけないから。

「父上! お願いです、私を神官課程に入れてください!」
 
「ならん! ならん! お前のちっぽけな補助魔術なんぞ、我らが崇高な雷の魔術に吸われて消える! お前は雷の軍人課程に行くのだ!」

「そんな! 軍人なんて嫌です! せめて執政課程に!」

「ならん! お前は最前線で我が一族の武を示すのだ!!」

 …………。
 えーと……。
 















「という事で、税は多くても少なくてもダメなのです。ですから……」

「薬草の中で最もポピュラーなのは……」

 私は、幽体離脱と身体操作を使い、執政課程と薬学課程、二つの授業を受けていた。そして、その情報を雷竜扇にそのまま流す。
 VRMMOからの私の独学だが、憑依で補助呪文の特訓も手伝った。
 どうやら、ポイントで手に入れた能力と元から持った能力は同居が可能らしい。
 それはともかく、頭がパンクしそうである。
 雷竜扇は私から二つの学習情報を得て、自らも軍事教育をこなし、更に色々と薬学の質問の使い走りに私を使う。ゴースト状態で聞いている執政関係の課程については、学校が違って聞けないので、側近に聞いているようだ。
 よって、私は薬学課程では、言葉はうまくないものの、中々侮れない才を持つ優等生である。
 今の私の親は薬仙子なので、早く実戦に出たいと願って、応用課程は出ないことに決めた。20歳まで待っていたら、魔物退治に出る事なく生の終りを迎えてしまう。せっかくこちらの世界に来たのだから、魔物の一匹はなぶり殺しにしないと納得がいかない。
 雷竜扇だが、軍人課程の成績は悪くないのだが、ちょっぴり不真面目……というか勉強に時間を費やすこともあり、また、勉学に多大な才能を示し、本人の強い希望があり、母方の実家からも助けの手が伸ばされ、応用の執政課程にいけそうであった。
 実は、十五までに二属性を操れるものは存在せず、どちらか一つを隠さねばならなくなり、雷を捨てれば父が憤死しそうな勢いだったので、雷竜扇が望んでいた神官になる事はできない。これは、私のせいであり、申し訳なく思っていた。
 奴が執政課程に行けば、私は勉強から解放される。
 雷竜扇が十五歳になり、執政課程に行くのが待ち遠しい。割りと本気で。
 よくわからない言語の授業をひたすら流すのは、とても苦痛なのだ。
 そして、私は十五になり、薬草課程を卒業して、薬仙子と共に薬草を得る旅に出る事となった。
 ちなみに、ゴーストで薬師課程の応用を学びつつの旅だ。
 初めて魔物を見る。とてもワクワクしている。最後の五年くらいは楽しみたいものだ。

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