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三話

 うむ。まずい。あの一件以来、俺は好々爺に引き渡され、弟は勉強漬けにされている。
 どう考えても、あの雷の一件が問題である。
 だが、言葉のわからない私には、あれが一子相伝っぽいものなのか、一族特有の能力とかなのか、それとも能力は人それぞれなのかすら見当がつかない。
 父親らしき者が熱心にらいりゅうせんに雷っぽいものを教えている為、一族特有の能力か、一子相伝と見た。一子相伝だった場合、非常に不味い。
 好々爺に引き取られるのは構わない。彼からは武人の匂いを感じたので、そちらの方がありがたいくらいだ。
 そして、好々爺は子供好きらしく、四六時中一緒なので体の方の訓練ができない。
 それに、近くに人がいるのに体を留守にするのも将来を見据えると良くないことだ。
 そろそろ、体の遠隔操作を覚えるべき時が来たということだろう。
 ゴーストを虐殺したらある程度ポイントが溜まったので、それで得ることとした。
 幸い、VRMMOで二キャラ操作はよくやったので、間隔が混乱する事はあるまい。
遠隔操作を覚えると、ひとまず、弟に憑依して見ることとした。
 ゴーストの能力で、あくまでも感覚的なものだが、ある程度パラメータを感じることが出来るのである。
 更に、多彩なVRMMOによる経験。あの技を出す間隔を総当りすれば、大体の属性は導き出せるだろう。
 絵本より、どのような能力があるかも理解しているつもりだ。
 私は弟が一人になった隙に憑依して、色々と調査を行った。




 雷。実戦には使えない程度。
 炎。発動が限界。火種には使えるかも。
 風。属性の関係上、この程度の弱さでは意味なし。
 バフ(支援)・癒し系超一流(この世界では支援系と治癒系は同系統である)
 頭脳。かなり頭の回転が速い。
 武術の才能。悪くはない。頑張れば二流まで行けるだろう。





 うむ………………。
 ――10ポイントを消費して、召喚契約を与えます。
 ――20ポイントを消費して、雷魔法の才能を与えます。
 ……うむ。フレンドリ機能が三十ポイントか。仕方あるまい。
 フレンドリ機能……というか、召喚契約は、常に互いに話せるようになる、という機能と、いつでも召喚できる機能である。ただし、私に拒否権はある。他にも、向こうから私に支援が出来る。色々と便利な能力である。
 私は断じてそれ以外の能力を弟に付与していない。
 とりあえず、問題はこれで全くないはずだ。
 後は雷の術の練習に付き合ってやるだけである。最も、私のやり方はこの世界の流儀とは大分違うかもしれないが、やらないよりも上達はするだろう。
 ……しかし、私もはや4歳。そろそろ言葉を覚えねば本格的にまずかろう。
 語学など大嫌いだが、学ばねばならない。
 それに、良い事があった。
 好々爺は、私の訓練を開始してくれた。
 巧妙に手を抜きながらだが、どうにか大手を振って体を鍛える事ができるようになったのだ。
 それに、しきりに話しかけて言葉を教えてくれるので勉強にもいい。
 子供の振りと子供の仕草の傾向はだいたい掴んだつもりだ。
 この町のゴーストはあらかた食い尽くしたので、しばらくは自重したほうがいいだろう。
 好々爺は、薬師らしい。それも、薬草採集も自分で行う。
 おそらく、戦闘ができるのはその為だ。
 ……薬草採集に連れて行ってもらう日のためなら、勉強の日々も厭わない。
 ああ、この世界の魔物はどんな生物なのだろうか。これで肩透かしだったら、本当に20年間まるっきりの無駄となってしまう。
 出来れば、大きく、凶悪で、醜悪なものがいい。
 ゾクゾクするような。
















「薬仙子と竜虎呼の様子はどうだ」

「上手くやっているようです、侯爵様。いい薬師になると太鼓判を押しておりました」

「親の欲目というやつだろう。私がその言葉を使うのも奇妙だがな。しかし、そうか。薬師か。思えば、青蓮はわずかながらに支援系の魔法を収めていたな。青蓮も、喜んでいよう。軍人の家系には荷が重すぎたのかもしれぬ」

「青蓮様、弓蓮様ご姉妹と言えば、美しく、優しく、まことの貴婦人と言われていましたからね」

「うむ……。姉妹の子だから似ると思えば、ここまでの差が出てしまうとはな……。青蓮は体が弱かった。それが影響したのやもしれん」

「しかし、雷竜扇様は健康で頭がよく、魔術も使えます」

「うむ、あまり欲張ってはいかんな。二人が幸せでありさえすれば良い」

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