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第三話「ギャンダモー大地に立ったり、立たなかったりする。」①

私達の迷宮チャレンジも早くも一週間が過ぎた。

 ひとまず、私達のダンジョン攻略は第五層までクリアしていた。
 もっとも……5層までは練習ステージ、ここを抜けられる冒険者なんて、掃いて捨てるほどいる。

 ……私達、強いなんてとてもいい難いのだけど。

 全滅回数もたかが16回程度だし……問題ないよね?
 酒場でいつも飲んだくれてるドワーフのおっちゃんも死ぬ回数が二桁を超えないといっぱしの冒険者じゃない! って言ってたし。

 ちなみに、私達が酒場に顔出すと皆、こぞってご飯やお酒おごってくれるんだよね。
 皆、可愛い子には優しい……これも私達の人徳って奴かな?

 ちなみに、死因は……私の場合、トラップがほとんど。
 宝箱が爆発したり、床が抜けたり……吊り天井だって、30秒ほど粘って、二人を逃がすことには成功した。

 まぁ、そのあと……3分位でどっちも死に戻ってきたから、私の頑張りは無駄になったのだけど、悔いはない。

 あとは、毒攻撃とかも甘く見てた……私は毒に侵されていても、行動に支障はないのだけど。
 ダメージは地味に食らっているので、歩いてたらなんか突然死んだ。

 ……解せない。
 私、本来なら迷宮守護者……つまりボスキャラなんだよ? ボスキャラが毒殺されるとか馬鹿なの?

 ……とは言え、正面からの物理攻撃については、この程度の階層なら私はほぼ無敵。
 どんなに食らっても、一桁のカスダメしか受けないから、戦闘自体は割と余裕。

 でも、調子に乗ってると、即死トラップで死ぬし、背後からの奇襲とか後ろの二人が死亡フラグ。
 ずんずん突き進むんじゃなくて、たまには振り返らないと駄目だと学習したよ?

 とにもかくにも、この第5層は一応練習ステージの総仕上げ。
 ……今の時点で大体、半分くらいは踏破してる……しかも、今回は、珍しく誰も死んでない。

「よし……二人共、気張るよ! リアン……そろそろ、間合いと立ち回り、つかめた?」

「はいっ! ヒールは最低限、ウズウズしても殴りに行かない! ですね!」

「よく解ってるじゃない……次! ルーシュ!」

「ボクは……釣り役とロゼの狙う敵を攻撃支援に徹する……だね。
 ひたすらアイスショット強化したけど、どうなんだろ? 使えてきてる?
 足止めとかに使えるようになってきたから、前よりはロゼさんのお手伝いになってると思うんだけど。」

「うんうん、アイスショットで足固めて足止めとか、超頭いい!
 十分使えるって! 特に遠距離攻撃型相手だとルーシュ頼みだしね!」

「けど、遠距離型相手って魔法使い系はともかく、アーチャー相手はキツいね……。」

「まぁ、それはしょうがない。
 なるべく、そう言うのは私が引き受けるようにするよ……あと、トラップ……。
 さすがの私もトラップかかるとすぐ死んじゃうんだよねー。
 即死型トラップとか、マジふざけんなって感じ! だから、私死んだら二人は一旦引き上げること!」

「ボ、ボクが……なるべく、注意するよ! と言うか、ロゼさん……不用意すぎると思うんだ!」

 ルーシュが妙に申し訳なさそうに、そう言う。

 言われてみると、ルーシュがそこは危ないかも……とか言う時に限って、ドアを開けたらバックドラフトとか、宝箱ちゅどーんとかそんな感じ。

 この娘、意外と勘がいいのかもしれないね。

「……不用意……なのかなぁ……?
 扉とかいちいち罠解除とかめんどくさいし、とりゃあっ! って蹴り破れば良くない?」

「それやって、毒矢食らってだいじょーぶって言ってて、突然、死んじゃいましたよね? ロゼさん。」

 リアンが、苦笑しつつ掘り返す。
 一応、その件で反省して、リアンは解毒術なんてのを覚えた。

 状態異常付与とか、考えたやつの性格を疑いたくなるね。

 ……ああ、ダニオだししょうがないか。

 むしろ、死ね。

「ロゼ……状況どうだお?」

 出たよ……噂をすれば役立たずのダニオ先生。
 管理者権限凍結されて、現状全くの役立たず状態……口調もなんかますますウザくなった。

 一応、この迷宮の構造やトラップ配置なんかは頭に入ってるとかで、色々と情報提供くらいはしてくれるのだけど。
 どうにも実情とそぐわないようなケースが大半。

 つまり、全然使えない……むしろ安心してるとこへ不意打ち食らって、全滅ってパターンが多くて、逆に巧妙な罠に嵌められてる気がしてくる。

 でも、ダニオだから、しょうがない。

「まぁ、少しはパーティとして形になってきたけど……全然だと思うよー。
 他は制限いっぱいの6人パーティとかが主流だから、平均クラスでも私達よりは強いんじゃないかなー。
 なにより、前衛が私だけだから、正直キツい……なんで、リアンちゃんばっか狙われるのさー!
 ねぇ、今日はもう疲れたし、お風呂入ってご飯食べて寝たい……一度、街に帰っていい?」

「いいんじゃないかな? ……お風呂とかいいなぁ……。
 ……俺としては、君達がお風呂でどこから洗うのか凄く気になるなぁ……。
 ねぇねぇ、ロゼたんはどこから洗う派? まずシャンプーから派?
 それともお股キレイキレイにする派? それともちっぱいから洗うの? ねぇねぇ、教えてお……ぐひひ……。」

 ……些細な事からでも、下ネタをねじ込んでくるスタイル。
 ダニオと念話で会話できるのは、私だけなのだけど……ある意味正解。

 こんな馬鹿と真面目に話なんかしてたら、精神が汚染される。

 けど、最低なことに、こんなセクハラロリコン野郎とリアン達を引き合わせるのが、私の最終目的なのだから泣ける……。
 いっそ職務放棄したいくらいだけど……そうもいかない悲しき我が身。

「あ……あのロゼたん? 思考がこっちにだだ漏れなんですけど……。
 俺氏、ロゼたんにはノータッチを貫いてますよネ? お風呂とか覗こうと思えば覗けるんだけど、やってないよね?
 一応、命令権は生きてるから、ロゼたん無理やり脱がしちゃって、ハァハァとかもやれるんだけど、敢えてやらない俺、マジ紳士だと思わね?」

 キモい……物凄くキモいこと言われた!
 うぞぞーって鳥肌立った!

 ダニオ、キモい……まじでキモい。

 キモい、キモい、キモーい!

「思いません……紳士に失礼だし、マジでキモいんでやめてくれません? そう言うの。
 私を不愉快にさせた罪は重い……後でそっち行きますから、またケツ釘バットフルスイングの刑ですね。」

「ちょ! あれはマジで止めて! マスター虐待いやーっ! ダニオさんのHPはもうゼロよっ!
 あ、でもフルスイングの瞬間チラリとか、ちょっと神アングルだったから、まさに俺得!
 ロゼたんのいちごパンツ、まじ萌えだったお……うん!」

 最低だ……なんで知ってるんだよっ! 合ってるよ!
 私、いちごパンツだよ! どさくさに紛れて、見てんじゃねぇよ!

 もうやだぁ……こんなマスター。

 コイツとの縁を切る為に……自由を勝ち取るために……。
 命懸けで迷宮攻略に挑む……これって、十分以上な理由だと思うの。

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