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二話

 カリカリとペンを滑らせる。

「うーん、文字がわかりにくいし、資料が全然足りない。というか、これってもしかして……随分無茶をやっているな……」
「おお……叡智が今ここに……! 私は今伝説に立ち会っている!」

 俺は、せっせと聞いたことを纏めていた。
 最近は授業中も内職をしている。
 そして、俺が書き散らした物を漁っている。別にいいんだけど、説明を優先させて欲しい。
 放課後の飛ぶ練習の時が唯一伸び伸びと日の光を浴びる時間である。
 あの日課だけは、何を置いても取るようにしていた。

「相変わらず、凄いなお前。馬鹿と天才は紙一重と言うが……」

 シェスもセルウィも皆も当たり前のように俺のパーソナルスペースにいる。
 正直邪魔だけれど、何かあるとすぐに手伝ってくれたり食事の準備をしたり、実験を手伝ってくれたりと便利なので文句は言えない。
 
 それにしても……。

「やっぱり簡単にはいかないか」

 シュナーベル達を調べさせて貰ったが、中々どうして面白い要素を持っている。
 一体、俺はどうやって彼らを作ったのか。


 その日の朝も俺は資料を纏めており、飽きた俺はパラパラと纏めた資料を見て、放り投げた。

「なあ、一段落は着いたか? 着いたな?」
「どうしたんだ? シェス」

 シェスの後ろには、大きな鳥かごが隠せていなかった。
 だってシェスの横幅よりも鳥かごがでかい。

「誕生日、おめでとう! ほら、ラーグの誕生日、もうずっと祝っていなかったろう? 全然屋敷に戻らなかったし」
「おおー! 鳥? 鳥なのか?」
「うん。ラーグは鳥の格好をするほど鳥が好きだからな」
「ああ。好きだよ。自由さが良いな。なので、この鳥は放す!」
「ああ! その鳥は羽を……!」

 俺は鳥かごを開け、中の鳥を放してやる。
 鳥は自由だから美しいのだ。
 鳥は自由を得て、力強く羽ばたき……窓から落ちた。

「あああああああああああああああああああああああ!!」

 どどどどど、どうしよう! シェスからの、王子からの贈り物を死なせた!
 いや。まだ間に合う!
 俺はぴくぴくしている鳥を抱き上げて連れてきて、立て続けに呪文をかけた。

「くっ 生命力が弱い!」

 俺はどばどばと薬品を掛けていく。
 必死になって術を掛け、命をつなぎ止めようとする。
 シェスも手伝ってくれて、その時にミスって俺もシェスも手を傷つけ、その血が鳥に掛かった。

「おやおや、何をやっているのですか。すぐ治療を致しましょう」

 静観していたマーゴは俺達の傷を治療しようと近づいてくる。
 異変は、この時起こった。
 そして、鳥は発光し、徐々に人の形を取っていく。

「ぱぱー」

 俺とシェスによく似た子である。
 空気が固まる中、セルウィがやってきた。

「ラーグ。少しは息抜きが必要だと思ってな。誕生日プレゼントに、鳥を飼ってきた。ワイトレイトという。本当は朝早くに来たかったんだが、一緒に買い物に行ったシュナーベルの様子がおかしくて……」
「ワイトレイトは、シュナーベル陛下の祖先の名前ですね。聖帝セルウィと聖女ラーグの最初の子です……。いやはや。未来、変わっちゃいましたね」
「ラララ、ラーグ。鳥が人の姿に!」

 驚くシェスと、別の意味で驚く一同。

「セルウィ!」
「ラーグ!」
「寝取られたわー! 寝取られ? 子取られ? なんて言えば良いんだ!」
「決まっているさ、ラーグ。貴方の子よー!って言えば良いのさ!」
「貴方の子よー!」
「うえええええええ!?」

 シェスが驚き慌てふためく。

 そして、どこからか笑いさざめく声がして、俺は顔を上げた。

『ハッハッハ! これだ! これをもう一度見たかったのだ!』
『未来の私よ。何が面白いかわからぬ』
『過去の私よ。まあ、見ていろ。もっと面白いことがどんどん起こる。だから、それを特等席で見るのだ』

「神よ!?」

 シュナーベルは慌てふためいた声を上げる。

『ふはははは、お前達種族の産まれる前にトリップさせたことを疑問に思うべきだったな! ちなみに帰る手段などという都合の良い物はないぞ―!』

「ええええ!?」
「あー。お前ら。あいつら、いやあの方達を信用したのか? 精霊も神も悪魔も、違いなんてないのに」
「えええええ!?」
「ぬかったなー」

 一応、帰す方法探してやらないと可哀想だよな、これ。

「ラーグ! せ、せせせせ責任はとととと取る! 私も男だ!」
「おー。じゃあ、幼児用品の費用全部出してくれ」
「じゃあ、買い物に行こうか、ラーグ。シェスのツケで」
「おう、ついでに研究素材もな。シェスのつけで。子供は頼んだ!」

 子供を押しつけ、セルウィと2人で買い物に繰り出す。
 扉からにこやかに出ると、2人でダッシュして逃げた。
 どこに逃げれば良いかわからないけど、とりあえず現実から?
 どうするよ、これ。

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