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第一話「俺さ、ダンマス辞めたら、ロリ少女ハーレム作るんだ……。」④

 とにかく……さぁ、森にお帰りって奴だ。
 俺もさ、美少女の泣き顔とか見たくないのさ。

 ……ホントは手元に置いといて、存分に可愛がりたいんだけど……あんまぶっちゃけると、問題ある訳だよ。 

 そもそも、俺、ここから出れないし! トークとかだって無理だし! 
 つまり基本、見てるだけしか出来ない! ままならねえ! 全く持ってままならない!
 
 まぁ……ひとまず、その辺はロゼに任せよう。

 こいつ、俺以外には優しいとかそんな感じだし……ひでぇよ。
 でも、ツンデレってこんな感じだし、きっとそのうちデレたりするのかも?
 
「……やれやれ、君達……逆に聞いていいかい?
 親御さんは? そもそも、いくらなんでも君達のような幼子が生き延びれるほど、この迷宮は甘くない。
 欲しいのはお金かい? それとも名誉とか言わないでくれよ。
 いずれにせよ……命を捨てる理由にはならないね。」
 
「違います……わたし達には選択の余地がないのです。
 この迷宮を攻略する……それしか……それしか道がないんです……。」
 
 白い方、リアンちゃんがそう応える。
 凛とした声……灰色のロングヘアーの清楚そうな雰囲気と言い……かなり、良くね?
 
「……何か訳ありなのかな?」
 
「……ボク達は本来、西方にあるラピュカ王国の王族なんだけどね……。
 魔王ギャプロンに国を滅ぼされてしまって……。
 父様や母様を人質に取られて、皆の解放条件としてボク達二人でこの迷宮を攻略しろと。」
 
 黒い方のルーシュが伏目がちにそう言うと、リアンも俯いてしまう。
 
 こっちは、黒髪のセミロング。
 ボクっ娘かよっ! 清楚なリアンちゃんと快活なルーシュちゃん。

 ふごおおおっ! 幼女プリンセス姉妹とか最高に萌えじゃないですか!

 やっべぇ……この娘達可愛すぎる!
 俺、こう見えても結構優しいし、紳士なつもりだし! 幸せにする自信あるよ?

 二人のロリ少女に囲まれて……湖畔のログハウスで夕日が沈んで行く光景を眺める……。
 
 さぁっ! 盛り上がって参りました! 主に俺の脳内でっ!
 
「無謀なのは解ってます……けど、わたし達やらないと……。
 この迷宮では、死んでも大丈夫って聞きました……。
 だから、わたし達みたいなのでも繰り返し挑戦すればいつかは……。」

 主に俺の脳内フィーバーを他所にリアンちゃんは、悲壮な決意を語っていた。
 
 いつかはって、いつだよ? 死んでも大丈夫って言っても、痛いのとか苦しいのとかは変わりないんだぜ?

 それに……蘇生だって100%上手くいくようなものでもないのだ。
 死に方次第では、本当に死んでしまうことだって、稀によくある。
 
 ダメだダメだ! 二人共強く生きるんだ!
 
「……あのさ、死ぬのって凄い痛いよ? さっきだって、君ら大岩に潰されてペッシャンコになりかけてた。
 たまたま、どっかの馬鹿が気まぐれ起こして、助けてくれたってだけで普通は死ぬ。
 それにこの迷宮は馬鹿が凝りすぎたせいで、文字通りの難攻不落の迷宮……魔王だの勇者だのも返り討ちになるほど。
 君達なんかでは、攻略は絶対無理! 悪いことは言わない……おとなしく家に帰りなさい。」

 うん、製作者もそう思う。
 ロゼやるなぁ……まさに俺の代弁者である……馬鹿って誰のことだろう? むしろ、俺、天才だし。
 
 ロゼって……ぶっちゃけリアンちゃん達とお話させる為にだけに作ったようなもんなんだけど。

 リアンちゃん達を家に返したあとも俺の側近、いっそ俺の嫁として側に仕えることを許そうかな!
 
 でも……その場合、色々攻撃的な性格とか直さないといけないけどな……。
 
「でもっ! 魔王ギャプロンはわたし達が行かないと、皆を殺すって……!
 けど……わたし達が逃げない限りは、殺さないって約束してくれたんです……だからっ!」
 
 あー、なんか読めてきたわ。
 要するに、俺の迷宮で死んで死んで死にまくって、心が折れて、精神が摩滅するまで挑戦し続けろと?
 
 これ絶対なんか、飛天の眼とかそれに近いの付けられてるね……それでこの娘達が死んだり、苦しむのを見て、ゲハハと笑うと?
 
 ひでぇな……なんだそれ。
 俺の迷宮はサディストの欲求を満たすための牢獄じゃねぇぞ。
 
 許せねぇ……こうなったら、この俺がぶっ殺しに行って……やれたら、どんなに早かったか。

 俺はここから動けねぇ……。
 ロゼにでも暗殺任務を任せるか? いや、このダンジョンの住民はせいぜい、ダンジョンの周辺位にしか出れない。

 クソ……魔王ギャプロンめ……てめぇ、空飛べるからって調子こくなよ?
 うちのメッシャーラに叩き落された魔王のおまけの雑魚Bのくせに……。
 
 やはりあの時魔王軍の軍勢なんて皆殺しにして、魔王本人も生かして返すなんて中途半端に情けをかけるべきでは無かった。
 
 それにしても……今更ながらなのだが。
 ここは俺にとっても、監獄のようなものなのだと気づく。
 
 そもそも、俺はどうして300年もの間長々と……引きこもりのような生活を続けていたのだろう?

 真面目にダンマスやってて、何か良いことあっただろうか?
 
 そもそも、この迷宮は何のためにあるのだろう?
 
 先代の奴も……なんかもう飽きたから、後はよろしくとか言ってたような……。

 ……結論。

 俺の300年、意味なくね? 
 そこまで考えて……俺はある考えに行き着く。
 
 あるではないか……誰もがハッピーエンドへ至る道が。
 
「ロゼ……ちょっといいか?」

(なんですか? ダニオ……どうでもいい事だったらぶっ殺しますよ?)
 
 当たり前のように蔑称で呼ぶロゼ……うん、お前ヒィヒィ言わすよ?
 
「……お前さ、この娘達を俺の所まで連れてこい。」

(はい? ……あの、私はこのダンジョンの管理者の下位存在なので、ダニオの所やダンジョン内のどこでも自由に転移できますが……。
 彼女達は、迷宮からすると敵対者です……だから、ダニオのもとに一緒に転移させるとか不可能です。)

「ああ……あくまで、外部の奴は一層づつ攻略してこないと、ここまで来れないってことだろ?
 だから、ロゼ……お前がこの娘達の迷宮攻略を手伝ってやれ……俺もフォローしてやるからさ。
 このダンジョンの製作者にして、管理人の俺が力を貸すんだ……出来る出来る! むしろ、余裕じゃね?」

 とりあえず、ひとしきり煽るとロゼも少し考え込む。
 そこはお前、ノータイムで頷くところだろう!
 
(解りました……どうせ、マスターダニオの言うことには逆らえません。
 なら、もう手っ取り早く迷宮の全機能停止、守護者や冒険者も一時退去でお願いします。)
 
 マスターダニオとか、無駄に語呂が良くてスタイリッシュで腹立つ。
 せめて、マスターヒトシくんとか呼べよ。

「全機能停止……か……そうなると、事実上の迷宮閉店セールだな……まぁ、余計な面倒は嫌だからな。
 その娘達がここまで辿り着けたら、俺もめでたくお役御免……その娘達も無事解放される。
 皆、ハッピー! どうだ、素晴らしいだろ?」
 
「私もめでたく無職となる訳ですが……まぁ、それも悪くないかもしれませんね。
 こんなクソの役にも立たない大迷宮とか誰得ですからね。」
 
 ……ロゼたん酷くね?
 けど、役目を終えた迷宮の管理者がどうなるかは……敢えて、言わないほうが良いだろう。

 まぁ……たぶん、一月くらいは猶予もあるし……リアンちゃんとルーシュちゃんの笑顔の為なら、それも悪くない。
 ロゼも……管理者権限を取り払えば、もう外の住民と変わりない。

 ……なんだ、誰も困らないではないか。
 
 そして、俺は素早く迷宮の機能停止プログラムを組み上げると、それを実行に移した。
 
 ……そう、実行に移した……つもりだったのだけど。
 
 モニター上には、冷たく「コマンド実行拒否」の文字が表示されていた。
 
 どゆこと? 再度実行!
 今度は「管理者権限がありません」との追加メッセージ。
 
「な、なんじゃいこりゃああああああっ!」

 どう言うことだ? 迷宮管理者たる俺の管理者権限を奪えるような奴など、この迷宮にいたか?
 
 そんな奴はいないはず……いや、だが。
 迷宮の機能統括システム……それ自体が機能停止命令を拒否したのだとすれば?
 
 その上で、俺から管理者権限を奪ってしまえば、もう機能停止命令は出せなくなる。
 
 ……これって、所謂機械の反乱ってやつ?
 
「な、舐めんなーッ!」

(マスターダニオ……どうかされましたか?)
 
「すまんロゼ……たった今、俺からお前達への支援は何もできなくなってしまった。
 管理者権限が凍結された……守護者共も俺の支配から完全フリーだ。
 ……色々試してはいるんだが、一切のコマンドが拒否される。」
 
(マスター……終わってません? あ、もしかして、私もフリーですか?)

「残念だったな……お前は作ったばかりで守護者登録自体が正式にされていない。
 だから、お前への命令権限だけは生きている……つまり、俺の唯一の手駒と言って良い存在って訳だ……悪いな。」
 
(ええ……なにそれ? 最低じゃないですか。)
 
「黙れ……と言うか、真面目な話、お前だけが頼りなんだ。
 いいか? 俺はお前に命じる……そのロリ姫達を俺のもとまでお連れするのだ!」
 
(はぁ……相当な手間ですよ……これ。
 けど、命令は命令です……それに一応、私にとってはダニオはクズとは言え、造物主様ですからね。
 ご命令のままに……この娘達もほっとけないし、善処はしますよ。)
 
 ……俺氏いよいよ、名前がダニオになった。
 しかもクズとか言われてる……やばい、俺……泣きそう。
 
 でも……頼りになるのはこいつだけ、もうダニオでいいよ。
 なんか、響き的にイタリアンっぽくね?

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