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キラーマート

 殺し屋専門のコンビニ「キラーマート」では様々な殺し道具を取り扱っております。
 



 ガム型爆弾。これは、ターゲットに噛ませる事で爆発します。
 



 猛毒入りジュース。一口飲ませれば、ターゲットを確実に死に至らしめます。
 



 カップラーメンはお湯を注げば3秒で猛毒ガスが発生します。
 



 雑誌コーナーには殺し屋専門の求人誌がずらり。立ち読みはご遠慮くださいね。
 



 まだまだありますよ。例えばこのレジの……
 



 あ、いらっしゃいませ。
 



 おっと、お客様、入店時にはヘルメットをお脱ぎに……おや、これは、まさか。



「金を出せ」



 コンビニ強盗!



 よくもまぁ、こんな入り組んだ所にあるコンビニで強盗なんか。いや、入り組んでいるからこそ、でしょうか。



「早くしろ!」



「……お客様、悪いことは言いませんから」



「うるせぇ! そのレジを早く開けろ!」



やれやれ、仕方がない。



 私がレジのドロアーを開けると強盗は手に持った銃で私を威嚇し



「よぉーし、両手を頭の後ろに組んで離れろ」



と指示しました。撃たれてもつまらないので、言う通りにします。



「へへへ……」



強盗が舌なめずりをしながらお札に手を伸ばし、



「痛ぇ!」



と悲鳴を上げました。お札を握ろうとした強盗の左手から、真っ赤な血がボタボタと垂れています。



「お札型カッターでございますお客様」



「なんだこれ!? くそ、動くなよ!」



強盗は銃をこちらに向けながら後ろの棚へと移動しました。そして棚から消毒液を取ると、包装のビニールを破き始めます。



「あ、お客様……」



「黙れ!」



強盗は消毒液を思い切り左手に吹きかけました。



「ぎええええええ!」



強盗は銃を取り落とし、のたうち回りました。無理もありません。あれは「傷口に塗ると猛烈に痛む消毒液」ですから。



 強盗は右へ左へと転げ回り、棚にぶつかってはそこら中の商品をぶちまけました。



 私は急いで強盗へ駆け寄り、銃を奪いました。私も元は殺し屋。昔の血が騒ぎます。



 私は強盗に向かって引き金を引きました。



「ピィ!」



可愛らしい音と共に、ヒヨコのおもちゃが銃口から飛び出しました。どこまでも呆れた強盗です。



 強盗は私を押しのけると



「なんなんだよここは!」



と叫びながら体当たりでドアを開け、出て行きました。



 さて、困った事になりました。店の事を騒がれても面倒だ。とりあえず知り合いの殺し屋に電話を……。



 すると、店の外から爆発音が聞こえました。どうやら殺し屋を雇う必要はなさそうです。





 間抜けな強盗でしたが、意外と抜け目のない。いつの間にガムを盗んだのでしょう。

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