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プロローグ

 ある日突然、昨日までの日常が覆る。
 そんな体験、誰にだってある。
 例えば、勤めていた会社がなんの前触れもなく倒産したり。
 相思相愛だと信じていた相手に裏切られたり。
 予期せぬ事故や災害、その他諸々。
 明日も続くと信じていた日常が、ある日を境に壊れてしまうことなど、たいして珍しいことではない。
 だがその日、広瀬 真白の日常が儚くも崩れ去ってしまった原因は、他とは少し違っていた。
 それは、本人の預かり知らぬところで起こった偶然が理由であるには違いなかったが、運命という言葉があるならそう。

 これは偶然ではなく――……運命の悪戯だったと言えるかもしれない。

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