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 長い階段を前に気落ちする様子もなく、営業トークの調子を崩さずにヴァージルが話を始めた。

「あなたはすでに、弾丸に思いを──魂を込めました。その前後で、弾丸の重さは少し変わっていると思います。それが、あなたの込めた魂の重さ。重さによっては必殺の銃弾にも、必ず軽傷しか与えられない銃弾にもなります」

 どきりとした。

 上着のポケットに収まった実包を握りしめる。確かに、重くなっている──ような気はする。疲れなどによる錯覚ではなく、実際の重さだったのか。

「次に、魔法銃に球を込めていただきます。通常、復讐代行の依頼者さまにはここまで関わっていただくのですが、あなたは特別に、ここまで来てもらいました」

 きつくなってきた呼吸をごまかしつつ、気を紛らわせようと外の景色に目を向ける。

 色褪せはじめた緑の中に、ぽつりと白い建物が見えた。かつては感染病患者の隔離施設として使われ、いまは精神病院として精神異常者を隔離・治療している施設だ。

 今日、ここから殺人鬼が放たれる。すぐ近くに──と言っても一キロ近くは離れているが──僕の家が含まれる町があるのだから、不安は当然増す。

 焦りが足を動かすが、前を行くヴァージルに制された。

「まだ時間はあります。ご安心を」

 続けて、先ほどの説明を補う。

「魂を込め、弾を込める。より強い魔法を作るためには、意味を重ね、言葉を重ね、思いを重ねる必要があります。銃というものは科学によって作られたものですが、言葉を重ねるという点においては魔法ととても相性がいい」

 胡散臭い話も、疑うつもりになれない。

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