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鈴木さんはお眠りでした。←いや何で

―――――――絶対興味無いと思うんだけど、この後僕がどうなったか。
殴られたと思ってるだろうね。僕もそう思ってた。

でも、違うんだよな。
なんかよくわかんないけど気絶してるよ、僕の目の前で。
……無防備?なのか?

「うぅ……」

あまり良い夢を見られていなさそうだったので隣にひざまずいてみた。
そりゃあこんな所でよく眠れるわけがないんだけど…

すると、真っ平らの胸の上に乗った葉っぱに目がついた(胸を見ていたわけではない)。とってやろうと手を伸ばし(触ろうとしたわけではない)。虫喰いのある葉っぱに(胸ではない)手が届きそうになった瞬間──────

「きも」

その言葉と同時に横腹に衝撃が走る。童女にしては良い蹴りを思い切り喰らわされた。

「それはないだろぉぉぉぉ…」

「………………………………」

寝ていた。
いや、あれは寝言?寝相の悪さ?無意識のうちの自己防衛みたいな奴なのか?
よくわからなかったが、まだすやすやと眠っているので少し離れたところで僕も寝転がる。

「痛っ!!!」

背中にゴツゴツした石……いや、岩が刺さりかけるし、地面いっぱいに張り巡らされた大木の根のせいで変な体勢にならざるを得ない。
よくこんなところで寝れるな。神経、図太すぎだろ…

急いで立ち上がって自分にできることを探そうとしたんだが。
食料…もないし。
寝る場所(僕の)…もないし。
水…もないし。

─────やることが多すぎる。

「こいつどーやって生きるつもりだったんだろーな。」

「それな」

「案外馬鹿?」

「それいったらころされる」

「そうだなー…………………………え!?」

「うわびっくりした」

「うわびっくりしたはこっちだよ僕だれと喋ってたんだよ!?」

他に誰もいなかったはずなんだが、なんでか僕は『誰か』と普通に会話をしていた。
…誰ですか?

「ぼくとしゃべってたんだよ」

振り向いたが誰もいないし、上にも下にも何もない。
この場に不似合いな貝殻が数個地面に転がっているだけだ。
別にそこまで違和感はないしいいか。

「ついに僕は限界を超えたのか…幻聴だな、自分と喋ってたのかあはは……」

「馬鹿じゃないの?」

声がした方を見ると、童女がむっくりと起き上がってきていた。
また馬鹿呼ばわりされた。

「鈴木さんおはようございます。いいお目覚めのようで。」

呼び方に悩んだ末、結局は「鈴木さん」となったので(これでも渋々といった感じだった)おはようと言ってみる。
あいさつは大切ですからね。

「すると、さっきから話していたのは鈴木さんの魂という」

「私は生きているし幽体離脱もしてないから。」

一蹴された。

「山に貝殻が落ちててスルーする奴が普通いる?」

「スルーする、て、え、ちょ、笑えてき
「死ね」

まだ死にたくないので誠心誠意土下座をいたしました。
鈴木さん、哀れな僕の頭をふみふみふみふみ…(ちょっと嬉しい)
貝殻のことはそういえばさっきスルーしてたな。所詮僕みたいな馬鹿は深く考えないんだよ。そういうもんだ。うん、自虐。

「で、あれが何?」

「言わない」

ちゃんと話を聞こうという姿勢だったのに。
言わないって酷くないですか?

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