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惨劇の始まり

 1ヶ月経って、待望の休暇となった。
 3日間だが、行きと帰りに半日かかるので実質は2日だ。
 携帯電話を返されたが、電源パックを外されていた。
 トラックで指定場所に着いたときに電池パックを装填し電源を入れるように言われた。
 トラックは十三反田(じゅうさんたんだ)公園前駅から3つ目の駅の前に止まり、ここで降ろされた。
 明後日もここで8時に集合らしい。
 ミキ達は別方向に行くというので三人と別れた。
 別れ際にミキが近づいてきて小声で言う。
「明日12時。ここで」
「ああ」
 別れてから、携帯電話で妹に電話した。
「着いたよ」
「お兄ちゃん!? お帰りなさい!」
「ああ、ただいま。待たせたな」
「本当だよ」
「ゴメンゴメン」
「今どこ?」
十三反田(じゅうさんたんだ)公園前駅から3つ目の駅」
「外で一緒に夕飯を食べたいの」
「じゃ、十三反田(じゅうさんたんだ)公園前駅北口のパン屋の前」
「いくつかあるけど」
「北口を左に曲がって最初の横断歩道のそばにある大きなパン屋の方だ。レストランもあるパン屋。その店の前で17時待ち合わせ。どう?」
「分かった」
 俺は電話を切った。
 その時、これが妹との最後の会話になるとは、全く予想もしなかったのである。

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