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ホルモン

「パナマ文書……、こういう時だけ富裕層代表にさせられるホルモンはある意味かわいそうだわ」

 神無月萌が珍しく同情的である。
 ホルモンとはホルモン好きなIT起業家のあだ名である。
 なんか刑務所から出てきた後、メルマガとか本を出して儲けてるらしい。

 そろそろ、熊本にボランティアに来て一週間になるが、Web小説投稿サイト<ヨムカク>の運営は大丈夫なのだろうか。

「でも、タックスヘイブンにライトドア株の売買益の資産が100億ぐらいはあるんじゃない?」

 アリサは適当なことを言ってみた。
 ライトドアとはホルモンが経営してたIT会社である。

「この前、ケイマンでホルモンみかけたよ」

 島左近がつい言ってしまう。

「え? どういうこと?」

 萌がキョトンとしている。

「まさか、あなたたち!」

 アリサの追究は厳しい。
 左手に鋼鉄のヨーヨーがきらりと光る。

「あ、ISISのリゾートバイトで少し儲かったので預けてある」

 石田三成は仕方ないので白状した。
 昨日、そのヨーヨーで家屋を解体してたのを目撃していたからである。

「いくら隠してるの?」

「少し、ほんの少しです」

 三成はごまかす。

「真田の10分の1ぐらいです」

 左近は白状した。

「100億なの! 三成君、私と結婚しない?」

 アリサは猫なで声で囁いた。

「いや、遠慮させて……」

 鋼鉄のヨーヨーが三成の頬に炸裂したのは言うまでもない。

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