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フサフサ




「素晴らしい星だ。」

探検隊の隊長は満足そうにうなずいた。彼が腰掛けているのは高台にあるフサフサの芝生。

「ええ。人類が生きるための空気も備わっていますし、気候も安定している。非常に住みやすいと言えるでしょう。」
部下の一人が答える。彼もまたフサフサの芝生に腰掛けていた。




地球からの長い長い旅の果て、彼らはついにこの星に行き着いたのである。澄み切った空に、あちこちに生い茂る緑入りの植物。


平和を象徴しているかのような星だ。




「格段に素晴らしいのはほら。やはりあれだろ。」

隊長は目の前で群れをなしている生き物たちに目をやった。
豚のような丸みを帯びた体に、鶏のようなトサカ。


どうやらこの星ならではの生き物のようである。性格は非常に温和。捕まえて丸焼きにしたところ、これまで味わったことがない旨味を持っていた。


「あいつらの肉を食べてしまった今、俺はもう地球に帰る気も失せたね。」

「僕はやっぱりあれですね。」



他の隊員が指をさす。近くの巨木の枝から垂れている果物だ。赤、黄色、緑。

色とりどりの皮は艶やかに光り、とろけそうな実をつけていた。見ただけでヨダレが垂れてくる。
事実、その味もまた素晴らしいのだ。



「これだけの食料の宝庫。新たな植民地として申し分ないだろう。」

隊長は満足そうに言う。

「ええ。とにかく星全体が穏やかっていうのが良い。ここに来て数週間になりますが、この星の生き物たちが殺しあっているのを見たことがない。」



「しかも、今日はこんなにフサフサな芝生まで見つけることができた。」

その弾力を確かめるように隊長は地面を揺らしてみる。それは程よくめり込み、心地よいクッションのようであった。



「宇宙船の中で膝を丸めながら眠る必要はないんですね。あぁ、嬉しいなぁ。」
彼らは笑いあった。





そして日が暮れると、そのまま気持ちよさそうに地面の上で眠りについた。


フサフサの芝生によって、彼らは深い眠りへと陥っていく。
彼らと接している地面もまたさらなる地中へと沈んでいくのだった。



相対的に高くなった周りの土地は、まるで優しく包むこみように彼らを覆いつくす。
驚く暇もなく、彼らは一瞬で窒息した。




やがて、土の中に収まったいた彼らの体内のエネルギーは、芳醇な植物を実らせるために木々に届けられる。



そして栄養たっぷりに実をつけた果物を、動物たちはお互いに譲り合って食するのである。
決して喧嘩することはない。充分過ぎるほどの量がある事を彼らは知っているのだ。






いつもと変わらない穏やかな日。




南の方から一陣の風が吹くと、動物たちは目を細める。颯爽とした気持ち良い風だった。



高台にあるフサフサの芝生もまた、まるで踊るようにユラユラと揺られていた。

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