日常の終わり
目が覚めると、界人のこれまでの日常は、二重の意味で終了していた。
二度、三度ばかり瞬きしている間に、強張っていた力が抜けていく。
なんだか頭が痛い。でかい鉛玉が頭の中心に埋め込まれているかのような重さを感じる。
界人はままならないままも、身を起こしながら周囲の様子を確認してみた。
「どこだ、ここ……?」
薄暗い場所なのか、まだ視界が定かではないが、先ほどまでいたはずのロビーではないのは確かだった。
床はゴツゴツとしていてひんやり冷たく、壁や天井まで含めてすべて石造りの建物のようだ。
薄暗いのは、部屋の灯りが蛍光灯ではないせいだろう。もちろんLEDでもない。所々に設置された蝋燭の火だけが、界人にとって唯一の頼りだった。
すると…。