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第六話『VSノルンの妃』8/9

言葉がこれしかわからないのかと突っ込みたいほどのオールイン連打。
中にはブラフもあったものの、ニセモノとホンモノの比率が凡人のそれとはまるで異なる。
木葉「オールイン」
木葉「オールイン」
木葉「オールイン!」
春樹「コール!」
圧倒的な力。
小さな容姿。その中身は圧倒的な力を持つ重戦車。
それに一石を投じた二階堂春樹。
その点数は既に4,000点まで削られ、仮に勝利をしても原点にも届かない位置まで押し込まれている。
木葉「ショウダウンね」
春樹が投げたカード。KK(キングス)。
テキサス・ホールデムで2番目に強いカードがやっと舞い降りて、それで勝負に望むが、
木葉のカードはA,5。
春樹にはわからなかったが、それは木葉のハンドの中でかなり弱い位置に部類されるカード。
春樹「……」
KK VS A5。
最初のフロップカード3枚にKが落ちればほぼ勝利は約束されたような物だが、そうそう落ちない。
フロップカード3枚。ターンカード1枚。リバーカード1枚。
合計5枚のうち1枚でもA(エース)が落ちれば、逆転。

補足:KK,AAと同じワンペアの場合、カードの強い順でAが勝利する。(A>K>Q>J>T>9>8>7>....2)


正明「フロップカード」
ディーラーのオレはこのゲームに限れば全てのカードはわかる。
現状、キーカードとなるA,Kともにオレは持っていないしバーンカードとしても使われていない。
そうなれば確率的には若干春樹が有利だが、あくまで若干であり、
正明「オープン」

落ちるカードはA85。

木葉「ふふん」
春樹「……」

Aが落ちた。
AA558 VS KKA85

この時点で8割近く木葉が優勢。
4枚目、5枚目でKが出れば春樹の逆転の目はあるものの……。
正明「ターンカードオープン」
A。
この時点で春樹の敗北が確定した。
木葉「ふん」
春樹「……はは」
正明「……」
消化試合となった不必要の最終カードをパパッとめくると、
A。
春樹「ウソでしょ……」
木葉「当然よ」
A一枚オールインから終わってみればフォーカード。

理不尽。

それがこの、目の前の少女を相手にした二階堂春樹の率直な感想であった。
木葉「あとはなんちゃってホストだけね」
正明「……」
この劣勢の中、ただカードを眺めるほど正明はお人好しじゃない。
テーブル。椅子。天井。考えられる要素を全て思考を巡らせた。
この不条理なイカサマの正体を掴むためにと、
正明「っは……」
長時間木葉のイカサマを見破るのに時間を費やしたが――わからない。
どう考えても、あるんだ。
イカサマしてるんだ。じゃないと、こんな偏りあるわけない。
イカサマだ。間違いない。
正明「……」
イカサマ、している、ハズなんだ……ッ!
常識の枠内で葛藤する頭に過ぎるのは、知りたくない絶望。
こいつは、もしかしてイカサマなんてしていなくて――

結局、
ジリ貧を嫌がって顔を上げると、
――待ち構えていた重戦車に轢かれて終わり。

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