第六話『VSノルンの妃』4/9
で、何が始まるのかというと、長々と記者のインタビューが続いた。
やれWSOPをどういう意図で開催したのかだの、日本NO1プレイヤーはこの大会どう思うかだの、まあ世界大会に向けて記事を書くのだろう。きっと。
1時間ほど続いて、木葉が伸びをすると飽きたと言う雰囲気が伝わってきた。
木葉「インタビューはこんなところかしら」
工藤「はい。ありがとうございます」
本当にキリがいいのか怪しいが、それを汲み取ったとも思うがどうでもいい。
レイナ「今日はとても楽しかったです」
初めこそ畏まっていた雰囲気だったが、時間を重ねるにつれ和気藹々と談笑が弾んでいった。
もちろん全員が木葉に気を使っているが、予想以上に話しができるという感触なのだろう。
正明「……」
一時間。
結局なんでオレを連れてきたの? ってレベルで空気な扱いだった。
正明「……」
さて……。
解散するなら……そうだな。いつもなら誰かに飯でも奢ってとすり寄るんだが……。
春樹「風雪さんって凄く美人ですね。ファンとか凄いんじゃないですか?」
……こいつらがいるなら、飯だけってのは勿体ねーわな。
ってことで……。
ドクン、と心臓が鳴った。
――そろそろ仕切らせてもらうか。
正明「お開きの前にちょっとぐらい時間あるだろ」
正明「せっかく人数居るんだからWSOPの前哨戦しようぜ」
木葉「はあ? なんでいきなり……」
正明「いいだろ八百長木葉」
木葉「いいもなにも……」
木葉「……」
木葉「――は?」
空気が、変わる。
正明「WSOPで八百長しねえっつーなら――今ここで、このオレを相手にしてみろよ」
木葉「……」
春樹「……?」
二階堂春樹は困惑した。
一体、どういうことだろうか。
竹原正明は、風雪木葉を使わないのか?
いや、使わないとしてもだ。
この相手にこんな安い挑発をしてなんの得があるのか?
それどころか……。
木葉「あんた――ふざけてんの?」
正明「イラつくんだよ。世界ランカー。それと日本最強さんよお」
正明「うぜえ」
正明「オレより弱いくせに、強者ぶってんのが死ぬほどうぜえわけ」
正明「あ? なんだよその顔」
正明「異論があるなら――座れよ」
木葉「……」
八百長を指摘される。
それが事実ならばもちろん、レッテル貼りとしても人目で中傷されれば気分を害するのは当然で。
一部では歩く爆弾と揶揄される少女は意外にも、呆れた溜息をつくだけだった。
木葉「いいわ。やりたいヤツは座りなさい」
木葉「格の違いを見せてあげるわ――!」
春樹「……」
さー、予想外の出来事になってはきたが……どうしようかな。
春樹「ってえええええ、僕もですかー!?」
世界ランカー。クラスキング。即ちCK。
ポーカー協会の利権と献金で造られたシステム。
当然クラス保有者と称号を持つ者はそれに相応しいとびきりの実力者揃いだ。
同時にその称号をビジネス目的で購入する人も多い。
CK保有者の資格を購入し、それを活用してビジネスを展開する。
二階堂春樹の知るところで言えば例えばリジェクトであり、
木葉「始めるわよ」
恐らく目の前の少女も同じであろう。
春樹「うおーー! マジですか。やっば。CKの風雪様と打てるなんて凄く感激です!」
春樹からすれば旨味がない。
この少女は政治力が大きすぎる。
それにこんな上品な子、プレイヤーとして相手をする機会なんてなくこちら側のゲームに参加するとしても出資者側だろう。
とはいえ癇癪の起こしやすい子供。
可能性としては自分に出資して参加するケースもあるが……ブレーンにキニー・ブラウンを添えている以上そんな暴走するケースも見込めないだろう。
つまり今彼女のハンドアクションを見る事に価値はなく、完全に接待ゲームとなる。
彼女の性格から考えれば、ギリギリで負けてあげるよりは一瞬で勝負がついた方が好ましいだろう。


