第六話『VSノルンの妃』1/9
▲【12/09】
◆【カジノWK】
天使のような純白。
ウール生地に包まれたご自慢の白スーツで堂々と我が者顔で歩くのは竹原正明。
フフフ……。
ようやく、ようやくこいつをお披露目できる機会がやってきた。
初めてスロットで万枚が出た時、一目散に買いに行った念願の白スーツ。
しかしお披露目の場がなかったため長い間タンスの肥やしになっていたが……。
ついに、この時よ!
黒服「こちらでございます」
正明「うむ」
風雪木葉が正装でとの依頼。
そのパーティー会場のドアが開き。
正明「……あ?」
そこに、三名もの視線が一斉に正明に注がれた。
正明「……」
え?
パーティー……え、なにこれ。3人? え、麻雀やるの?
見覚えのない大きな眼鏡をかける長髪の女性。
中学生ぐらいの身丈の少年。
春樹「おおおお、やっほーやっほー! どーもー。元気してたかい?」
って春樹かよ。
最後の一人はスタイルの良い綺麗な女性で……。
レイナ「うわーーー! マーサー! レイナもレイナも。やっほーやっほー!」
ってこいつかよ。
正明「……」
え、なにこれ?
なんでこのカス共しかいないの?
もっとこう……え、待って待って。これってパーティー……え、もしかしてパーティーじゃない?
黒服「おい。全員揃ったとお嬢様に伝えろ」
高橋「ういっすー」
正明「……」
全員、揃った……。
え、じゃあオレ一体なんのためにこの白スーツを着てきて……。
レイナ「じゃじゃーん! スーパーアイドル進藤レイナちゃんでーす! わー、マーサー今日かっこいいね。今日はゴミ袋じゃないんだ」
悪意のないナチュラル煽りは一番反応に困るんだよなあぁ……。
春樹「やあやあやあ。正明君。元気だった? 会いたかったよ」
そうやってまるで昔からの友人であるように握手を求める右手を差し出す。
正明「よー、春樹じゃん」
二階堂春樹。
その握手を握り返すが、本人は笑顔を崩さない。
――敵意が感じられない。
つい先日大金を奪った相手に、これか。
あの程度を端金と感じる相手のイメージはない。
"気"を探る。
当たり前だがそんな能力はないが、感じようと思えばある程度相手の感情を読み取れる。
ポーカープレイヤーが、隠そうとさえしなければ。
その上で、いつもとは異なる違和感。
(――なんだろう。警戒している?)
或いはいつもの笑顔の二階堂春樹は演じている? もしくはレイナかこの女が邪魔で踏み込めないのか。
それともまさか素なのか?
上のプレイヤーを読み切るのは一筋縄では行かない。それはこの二階堂春樹にも当てはまる。
春樹「進藤レイナちゃんって初めて見たけどすっごい可愛いよね! ねえねえ、彼氏いるのかな?」
レイナ「やーん、レイナはファンのみんなが彼氏さんかなー。トップアイドルだからねー」
春樹「まさか正明君とも知り合いなんて驚いた。もしかして彼氏とかないよね!?」
レイナ「んー、運命? あはッ。やーん、言っちゃったー。ウソウソ。マーサーってレイナの猛烈なファンなの」
言ってろよ。
正明「……」
二階堂、春樹か……。
まさかこいつとこんな場所で会うとはな……。


