バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第三話『――え?』1/2

◆【学園長室】
木葉「来たわね」
正明「来たわね好きわね。つーか木葉が呼んだんだろ」
木葉「……」
木葉は正明の方に近づくと、スッと手を伸ばした。
握手ではなく、胸に手を添えるように――

――ぎゅむ!

正明「痛ってえ!? いきなり乳首つねんなカスッ!」
木葉「ふぇ? あんた本当にイッたの?」
正明「どこに!?」
木葉「……」
天井を眺めた。
木葉「強弱……タイミング……シチュエーション……」
木葉「ふん。まあいいわ。もう帰りなさい」
正明「今からビンタするから目を瞑ってくれよ」
木葉「ってあたしが呼んだのよ!」
正明「うるせえぞ痴呆症!」


正明「――で? 何? オレ今超機嫌悪いんだけど」
木葉「あんたっていつも機嫌悪いわよね。カルシウム足りないんじゃないの?」
正明「おほほ、木葉ちゃんのおかげですわよ」
木葉「明後日18時。あたしの家に来なさい」
正明「……あ?」
木葉「おい。補聴器用意してあげなさい」
正明「聞こえていますですわッ!」
木葉「ならちゃんと返事しなさいよ! 態度悪いわねッ!」
正明「……ッ!」

さて、こいつどうしてくれようか……ッ!
いきなり黒服に拉致される。
で、乳首が痛い。
で、メッセージで一瞬で終わるような明後日集合の話。
で、オレの態度が悪いらしい。

正明「……」
理不尽の塊。
なのだが、先日お好み焼きを奢ってもらったので勝手に頭の中でそれを相殺する。
正明(オレも義理固いな……!)
やはり正しい明るい正明だ。うんうん。やはりイケメンお笑い芸人。人間ができているな。

正明「なあ。そんなの携帯で連絡すればいんじゃね?」
木葉「あたしアナログ派なのよ」
知らねえよ。
正明「あー、わかったわかった。付き合ってやるよ」
木葉「当たり前よ」
こりゃこいつ友達いませんわー。ぼっちの自己中クソ女ですわー。
木葉「……」
木葉「……?」
いきなり黙ったかと思えば訝しげに首を傾げる。
正明「なんだよ?」
木葉「なんであんたここに居るの?」
正明「おい。健忘症か痴呆症だ。薬用意してあげなさい」
木葉「あたし、もうあんたに用ないわよ」
正明「……」

え?

つーと何?
このガキ、オレを明日誘うためだけにわざわざ学園長室に呼び出したわけ?

木葉「あたし今からゲーム……忙しいのよ」
今ゲーム言うたぞこのクソガキ。
木葉「あ、そうだ。あんたにアドバイスしてあげる。友達選んだ方がいいわよ」
正明「あっははは! 流石木葉ッ! オレもちょうど今そう思ってたところなのよ」
木葉「それとあんたの元カノの女……」
正明「やめてください竹原正明とは一切の関係はございませんそれ以上は弁護士を立てます」
木葉「……」
木葉「じゃあ正明。あたしがあのブスを徹底的に虐めるって言ったらあんたはもちろん協力するわよね?」
正明「する」
正明「って言いたいけど、あいつには関わらない方がいい。マジで。これ先輩からのアドバイスね」
木葉「ビビってるの?」
正明「……」
見え見えの煽りに乗ってしまいそうになるがぐっと堪える。

そういや、昔望代ってここでイジメられてたんだよな(自称)
そんでその時……。

正明「昔ちょっとした仕返し食らったんだよ。いきなり窓ガラスが割れて、瓶を投げつけてきたわけ。深夜の2時な」
正明「中に何が入ってたと思う?」
木葉「……」
木葉「液体窒素」
それもう学園生の発想じゃねーからな。
木葉「で、正解はなによ」
正明「生きたゴキブリ30匹」
木葉「学園生の発想じゃねーわよッ!?」
すげえ。"じゃねーわよ"。なるほどなあ……! そう来たか。ツッコミすげえはコイツ。忘れないようにメモしておこう。

木葉「ね、ねえ。それ、冗談よね?」
正明「マジ。数匹指で押し込んで、適当に餌ヤッて繁殖させたって」
木葉「飼育……ええぇ……は、え? ゴキブリ繁殖させる学園生?」
木葉「ね、ねえ。その後どうなったのよ……?」
正明「……」
窓から眺める空は青色だった。
正明「木葉。悪い事は言わない。ジャンに言われたからって日和るな」
正明「もし殺すなら先行1ターン目で確実に息の根を止めろ」
木葉「……ねえ。確認するけどあんたの元カノで仲いいんでしょ?」
正明「全然。昨日グーで殴ったし」
木葉「仮にも女の子を相手にグーで殴ると名言できるってあんたすごいわ」
正明「……」
思い出したら苛ついてきた。

と、タバコ取り出したところで後ろから黒服に没収された。

正明「殴るって、当たり前だろ。オレの財布から金パクったんだよあのクソメンヘラ」
正明「まあ? オレにも心があるわけよ。千円とか五百円パクったぐらいだったら半ごろ……まあ、それぐらいなら慈悲な心で許すじゃん?」
木葉「半殺し?」
正明「あのクソメンヘラ、渋沢パクりやがったの!!!」
正明「しかも! しかもだぜ! 空腹に耐えかねてとかで飯食うとかならまだわかんじゃん。まだ! 絶対一生許さないけど餓死にしたくないとかでわかんじゃん」
正明「あのゴミ、ソシャゲに課金してやがんの!!!」
正明「しかもしかもしかも!!! 『竹原の金じゃSSRも引けないし~』とか。はあ!? まず死刑確定だけどそんな下らない事に金使ったならせめてSSR引けよカス!!!」
正明「あああああああああああああ!!! 思い出したらムカついてきたあああああああああ!!!」
正明&木葉「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
正明「ハモんなっ!」
木葉「ふふん」
得意気なドヤ顔すっげえムカつく。

木葉「あ、そうそう」
しょうもない事を思い出したかのようにいつものマイペース。
木葉「あんたに面白い情報あるのよ」
正明「知ってる。ひきわり納豆は身体に良いんだろ?」
それはあまりにも、不意打ちで。


木葉「あんたの父親が捕まった詳細出てきたけど知りたい?」


正明「――え」

しおり