第四話・警察のエリート
サクヤ「ここね……。」
私…森泉サクヤは、通報があったビルへと現着した。
中から微かに人間の匂いがするが、それ以上に血の匂いがひどい。
「ッ……。」
犬と同等の嗅覚を持つ身からすると、この匂いは非常にキツイ。
慣れている事とは言え、堪えるものは堪えるのだ。
警察官「サクヤさん!」
一人の警官が走り寄ってくる。
「被害者の体に、恐らく12mm口径と思われる銃創が残っていました。」
「つまり、裏の人間が絡んでるって事で良いかしら?」
「はい。」
「そう言っても、差し支え無いと思います。」
「…建物への突入も許可されているし……行きましょう。」
「はい。」
私は警官と共に建物へと入っていった。
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レイト「やばいな……。」
幾ら素人でも、誰かが階段を駆け上がってくる音くらいは聞こえる。
建物内には現在、従業員が一人もいないため、上がってくる音が迫ってくる感覚が、一層大きく感じられる。
『おい!急げ!!』
インカムから、康平さんの声が聞こえてくる。
その声からは、若干の焦りが感じられた。
「わ、分かってます…!」
無論、僕の声にも焦りという感情が混じった。
PCの画面では、ダウンロードが1%、また1%と進んでいく。
(早く……もっと早く…!!)
足音が近づいてくる度、焦りがどんどん募る。
心臓の鼓動の音を、今ならはっきり聞く事が出来た。
ピピッ
(…よしっ!)
ダウンロードが100%になると同時に、僕はUSBを引き抜く。
ガシャンッ
それと同時に警官二人が、扉を勢いよく開けて入ってくる。
(やばっ、!)
僕は急いでデスクの下に身を潜める。
サクヤ「…ここよね?」
「さっき音がしたのは…。」
警察官「はい、3階にはここ以外部屋がありませんからね。」
黒のポニーテールにケモミミの警官と、もう一人男の警官が入ってくる。
「康平さん、2階の窓の近くで待機って出来ますか?」
僕は小声で康平さんに相談する。
『あ、あぁ…出来ないことは無いが…。』
『何か考えでもあるのか?』
「はい。」
『…分かった。』
その言葉を聞いた僕は、インカムを切る。
「ふぅ…。」
僕は小さく深呼吸をすると、サイレンサーを外した拳銃を片手に持つ。
「……?」
「誰!?」
ケモミミの警官が何かに気づく。
僕はそれを気に留めない。
ダァン
「!!」
僕は拳銃を窓に向けて発砲する
直後、僕は割れた窓に向かって駆け出す。
「今です!!」
僕は大声で合図する。
「待ちなさい!」
警官二人が武器と手錠を構えて向かってくる。
しかし、僕は警官の制止などお構いなしに窓に突っ込む。
ガシャンッ
そんな音を立てて、一枚のガラスは砕け散る。
一瞬、体が重力に従って落ちていくが、
「…よっと!」
すぐに康平さんに抱えられる。
康平さんは、窓から身を乗り出しこちらを見据えている警官達をチラ見すると、すぐに飛び始める。
言い忘れたが、康平さんは政府により実験を受けた、通称''改造生物人間''である。
そのためハツカネズミ、コンドル、アキアカネ、ショクコウラの四体の生物の遺伝子がある。
能力は『4th living things』で、上記の4体の生物の特徴を使える。
羽はコンドルの能力で出したものだ。
「あの女の方の警官…エリートの森泉サクヤだ。」
「エリート…ですか?」
「あぁ…奴に初の単独任務で邂逅するとは、運が良いのか悪いのか…。」
「…。」
「…取り敢えず無事で何よりだ。」
「初の任務、ご苦労様。」
「今日はもう、ゆっくり休めよ。」
「はい!」
僕は、康平さんに抱えられながら夜空を飛んでいた。
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