第三話・仕事の狼煙
(……あんな事があったんだっけ……。)
そんな昔のことを思い出しながら、僕、宮崎レイトは屋上でスナイパーライフルを携えながら待機していた。
康平「何だ?考え事か?」
「いや…少し昔の事を思い出してただけ……。」
「…物思いに
「分かってます…。」
「予定通りだと……そろそろ来るぞ……。」
「………。」
カチャッ
僕は精神を統一し、スナイパーを構える。
今回の任務は暗殺と、ある情報の強奪。
目標は小林第一商事という会社の幹部、
今回の算段は、まず土屋影助をスナイパーライフルで狙撃。
遺体を会社の裏にある路地に遺棄し、その路地から三階までよじ登り侵入。
そこから、社長室にある端末をハッキングし、情報を特殊なUSBに保存して脱出という形だ。
「…出てくるぞ。」
康平さんは、小声で僕に告げる。
ウィィィン
自動ドアが開き、ターゲットが出てくる。
僕はスコープを覗き込み、ターゲットの脳幹に狙いを定める。
(呻き声ひとつ上げさせない…!)
ダァン
一発の銃声が響き、ターゲットがばたりと倒れる。
スマホを出そうとしていたのか、手から零れ落ち、広がろうとする血の海に浸る。
四ヶ谷「…完璧だな。」
「さ、次の作業だ。」
康平さんは、手袋をはめて屋上から翼を広げて飛び降り、すぐに遺体を引きずる。
血の跡が、遺体に続く。
シュルシュルッ
僕はパイプを伝って降り、路地に入る。
血痕を踏まないように。
「ここからはお前一人だ。」
僕が路地に入ったところで、康平さんは僕に言う。
「初の単独任務だが、お前ならやれるはずだ。」
「ただ、何かあったらインカムで知らせろ。」
「分かったな?」
「分かってます。」
「よし、行ってこい。」
彼がそういうと僕は、ロープを建物の出っ張りに引っ掛け、ロープの強度を確認してから登り始める。
数分後、目的のフロアに着くと僕は、消音銃で窓を撃つ。
円形に撃ち、穴を開けそこから侵入する。
(慎重に……。)
なるべく音を立てないように。
(社長室はこの奥……。)
僕は消音銃を構えながらゆっくり進む。
扉の前に着くと、模造した鍵を鍵穴に差し込み開ける。
ガチャリ
キィィィ……
扉は軋みながら開いた。
中には誰もいない。
特殊なゴーグルで見ても、レーザーがかけられている様子はない。
僕は部屋にポツンと置かれたPCに歩み寄り、起動する。
ハッキングの機械を取り付け、その機械を起動する。
パスワードがスラスラっと打ち込まれ、あっという間に情報の入ったファイルがダウンロードされる。
僕はその情報をUSBに移すため、機械に差し込む。
その時インカムに、
『聞こえるか?レイト。』
康平さんの声が響いた。
「…何ですか?」
『思ったより警察が速く到着したぜ。今建物の内部に入ってる。』
「……!」
初の単独任務、大変なことになってしまった。
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