Prologue
ドアが小さいベルを鳴らしながら開く。
赤いカーペットが敷かれた廊下をゆっくり歩き、ガチャリと奥の扉を開く。
雀田「いらっしゃいませ、お客様。」
ここのオーナー、雀田黄王奈が微笑みのような顔を浮かべ、そう言う。
雀田「珍しいですね、こんな時期にお客様なんて.......。」
「それで、御用件は?」
彼女は疑問を小声で口に出しながらも、客への対応を始める。
雀田「え……?」
「『例の事』について教えて欲しい......ですか。」
「………いいでしょう。」
彼女は少し黙りこくった後、息を吐くようにそう言った。
「さあ、そこにお座りになってください。」
「紅茶をお淹れしますので。」
彼女は、客を長椅子に誘導した後、紅茶を淹れに向かった。
5分程経った頃、彼女は、お盆に湯気が上がる紅茶の入ったカップニつを持って戻ってきた。
「どうぞ。」
カタンッという音を立てて、紅茶のカップが客と黄王奈が座るであろう椅子の前に置かれる。
「.....ズッ。」
「では、お話ししましょう......。」
彼女は紅茶を少し啜ると、
「事の始まりは......ある、冬の夜の事でした...............。」
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