バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

Prologue

ドアが小さいベルを鳴らしながら開く。

 赤いカーペットが敷かれた廊下をゆっくり歩き、ガチャリと奥の扉を開く。

 雀田「いらっしゃいませ、お客様。」

 ここのオーナー、雀田黄王奈が微笑みのような顔を浮かべ、そう言う。

 雀田「珍しいですね、こんな時期にお客様なんて.......。」

「それで、御用件は?」

 彼女は疑問を小声で口に出しながらも、客への対応を始める。

 雀田「え……?」

「『例の事』について教えて欲しい......ですか。」

「………いいでしょう。」

 彼女は少し黙りこくった後、息を吐くようにそう言った。

「さあ、そこにお座りになってください。」

「紅茶をお淹れしますので。」

 彼女は、客を長椅子に誘導した後、紅茶を淹れに向かった。

 5分程経った頃、彼女は、お盆に湯気が上がる紅茶の入ったカップニつを持って戻ってきた。

「どうぞ。」

 カタンッという音を立てて、紅茶のカップが客と黄王奈が座るであろう椅子の前に置かれる。

「.....ズッ。」

「では、お話ししましょう......。」

 彼女は紅茶を少し啜ると、(おもむろ)に話し始めた。

「事の始まりは......ある、冬の夜の事でした...............。」
______________________________________
______________________________________
______________________________________

しおり