第一話『オレは竹原正明で、』2/3
△【イベントCG033・ゴミ箱正明君】
それからの事はあまり覚えていない。
気付いたらボコボコにされてゴミ捨て場に出されていた。
正明「……ッハ」
勝った。
博打に勝った。
で、結果として横にはべらかすのは女でも渋沢でもなくゴミ袋だとよ。
ヒヒヒ、くっそウケる。笑えねえ。
正明「ゴホッ」
吐き出される血が服にかかる。最低。この服渋沢2体分なんですけど。
つーかこれ臭い取れるのか?
徐々に身体の感覚が薄らいでいくのがわかる。
……このまま死ぬのかな。
つーか人って、なんのために生きているんだろうな。
真面目に生きても最後は死ぬ。
50のジジイが70まで生きて、90まで生きて。
なんのために生きているのか知らねえし知りたくもないが、どうせ惰性だろ。
他者を出し抜くだのかっこつけても最後はポカっても死んで。
何の為に生きているのか、真面目に人と同じ事を繰り返してる宗教バカも死んで。
結局は死ぬんだ。早かれ遅かれ。
それなら誰にも従わないで自由に……って思ったけど、案外才能ねーのかもな。
自由に好き勝手やっても、実はもう結構飽きてたりして。
あー……。
いよいよ瞼が重くなってきた。
もう――いいんじゃねーの。
もう。
結局オレは――
オレも――あのゴミ共と同じつまんねえカスなんだろうな――。
意識が薄れていく寸前、
??「――ネヨ」
音として聞こえた言葉。
身体が勝手にその音を聞こうと耳を澄ます。
??「死ねよ」
正明「……」
ッハ。
暗闇に呑まれていきそうな時、中傷はまるで起動スイッチのように身体に電源が入る感覚だった。
??「もういいだろ。うぜえし。早く死ねよ」
正明「……誰に口効いてんだてめえ?」
ぐが……ッ!
全身に痛みが戻ってきた。
正明「ぐ……ヒヒヒ、カスが」
正明「死ねわけねーだろ……このオレがぁっ!」
口にして自分が今どれだけ弱っているか自覚できたが、止まらない。
正明「ちょうど今からどうやってあのゴミをぶっ殺すか考えてたところだっつーの」
??「……」
??「ん」
ゴミの中に入ってくる一つの温もり。
右腕が付いていたんだと顔を上げると思うと、それが引っ張られる。
しかしその力はあまりにも貧弱で、反動でゴミの中に埋もれた。
正明「新規一名様ご来店でーす」
??「……おい。この服いくらすると思ってんだよ」
正明「1980円」
??「正解」
ハハ、ま、服ってのは値段じゃねーからな。
??「それでどうすんだよ。そろそろ終わんのか?」
正明「終わるわけーだろが舐めた事言ってんじゃねーよ」
正明「――終わらない。オレは竹原正明だ」
繰り返す。
なんでかな。本当はもういいかなとか思っていたのに。死んでもいいと思ったのに、こいつに死ねと言われるとムカつく。
天の邪鬼なのかなオレ……。
??「今救急車呼んだから少し休んでろよ」
??「うっそーん。そんなお金ないし」
あー、単純にこいつがイラつくだけか。
??「立てよ。歩いて帰るし」
正明「ッハ。余裕だっつーの。ビリーズブート2セットぐらいできるし」
??「なっつ」
体中にゆっくりと痛みが訴えるが、幸い足は折れていないようだ。
ゆっくりと、引っ張り上げられる。
??「ドーーーン!」
正明「ぐわあっ!?」
??「クフフフ、燃えるゴミ原」
こいつは完治したらぶっ殺すとしてだ。
肩を借りながら生まれたての子鹿のように地面を確かめながら一歩ずつ踏み出す。
正明「我ながらゾンビみてーだな」
??「昭和かよ。今のゾンビは走るし」
正明「ウソだろ?」
??「マジ。全力疾走レベル。100メートル12秒台は出てるし」
正明「ゾンビすげー元気じゃん」
オレは竹原正明。
こいつが鏡望代。
竹原正明はそういう男で、鏡望代はそういう女だからだ。
望代「なあ。もしお前が億万長者になったらモチに1億な」
正明「ラーメンのトッピング奢ってやるよ」
望代「足が滑った~……ぐえ!」
正明「ぎゃあ!」
寄りかかった状態での足払いに、仲良く二人とも地面に打ち付けられた。


