バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第十八話『凡人故の構想と特訓』3/5

レイナ「んー、ねえねえ。ミラーホープちゃんは?」
正明「知らん」
レイナ「それじゃあ長身モデルさんは?」
正明「オレの家に住んでるわけねーからな」
レイナ「へー」
レイナ「あれ、もしかして、今スーパーアイドルのレイナちゃんとマーサーの二人っきり?」
レイナ「ってベッドも用意してあるし! やーん! 狼さんだ~!」
レイナ「あ、そうだ! マーサーの隠してあるエロ本探していい?」
正明「レイナって元気だよな」
レイナ「お。エロ本なんてないと余裕な表情。ワトホン君。君は動画派かね」
こいつマジで何しに来たんだよ。

レイナ「マーサーってレイナの大ファンだよね。そんなマーサーが会いたがってないかなーってずっと思ってて、しょうがないから来ちゃった」
正明「そこにプチプチ君あるから全部潰しとけよ」
レイナ「ってわーーー! こたつー! すごーい! これこたつでしょ!? 和風~超和風~! わふーーー!」

オレの推測だとこいつ今危ない薬やってるな。
もし危ない薬をやっていないとなると、そっちの方が危ないヤツってことだが。

レイナ「へー、あ、トランプこれ広げて……」
レイナ「……」
レイナ「レイナね。トランプ大好きなの! 一緒に神経衰弱しようか!」
正明「一人で神経衰弱してたみてーに言うなアホ!」

レイナ「あははは。うんうん。レイナとマーサーは親友だもんね」
正明「……ッ!」
クソ女め。
そうだ。思い出した。
次に進藤家の人間がこの土地に足を運んだら試そうと思った事がある。
正明「飲み物出してやるよ。座ってろ」

レイナ「え、ありがとー! レイナコーヒーならブラックがいいな。あんまり甘いもの好きじゃないの」
そう。妹もコーヒー言うてたよな。
正明「ちょっと待ってろよ」
ざーーーー、と向こうにまで音が聞こえるように勢いよく水道水を流し込む。
正明「ほれレイナ」
レイナ「ありがとー!」
正明「水だ」
レイナ「……」
水道水の水しぶきをたっぷりと受け、氷さえも入れれていないそのコップが二つこたつの上に並んだ。
それをブルジョア進藤レイナはしばらく眺めた後にニコリといつもの微笑み。

レイナ「気遣いありがとー! ちょうど喉が乾いてたんだー」
言葉通りにコクコクと飲み干していく。
あ、こいつ思ったより人間できてるな。すげえな芸能界。ちょっと舐めてたわ。

レイナ「ねえねえマーサー。このお水飲んじゃったけど、これって変な薬入ってる? 感度3,000倍とか?」
正明「天然水道水カルキ入り」
レイナ「いぇーい! カルキいぇーい!」
……こいつもしかして深夜テンションか?。
最近オレも同じような事やってたからなんかわかるわ。

レイナ「ねえねえ。それでこのトランプは何してたの?」
正明「ポーカーで勝つ勉強」
レイナ「すごーい! 頑張り屋さんなんだー!」
正明「新人キャバ嬢かよ。何が凄いかわかんねえくせに無条件ですごーいやめろよ」
レイナ「すごーい! 気遣いできる着眼点、すごーい!」
正明「だろ? ふふふ」
レイナ「あははは、マーサー可愛い」
ん……?
ちょうどいい。ちょっとやってみるか。


正明「レイナ。このトランプ配ってくれ」
レイナ「ごめんねマーサー。レイナアイドルだからお箸より重い物はわっしょおおおおおい!」
やはりこいつの芸人レベルはこのオレや木葉に匹敵する物がある。
こいつがアイドル辞めた時は木葉とのトリオも視野に入れる必要があるな。

正明「シャッフルしてから。一枚ずつ順番に配ってくれ」
レイナ「レイナ七並べがいいな」
正明「やんねーよ。配るだけってば」
えー、と反抗の意思を見せるものの言われた通り一枚ずつ配り、二枚のカードが配られる。テキサス・ホールデムと同じように。
正明「……」
ハートの3と……もう一枚は見えない。
マークの所を、レイナの指でちょうど隠れていた。
正明「ハートの3と、もう一枚はなんだ?」
レイナ「え、まだレイナちゃんカード見てな……ってウソッ!? あ、これ本当にすごっ! え、マーサーってマジシャンだったの!?」
正明「マジックじゃねーよ。書いてあるんだよ」
レイナ「え、うそうそ」
そう言って自分の配られたカードの裏面を凝視するレイナ。
レイナ「ん……ん? え、全く同じ柄だよ」
正明「同じじゃねーよ。ほらここ、模様が跳ねてるだろ」
レイナ「えー、ウソ。全然同じ……え、あ! 本当だ!」
正明「で、こっちが中央の柄の位置がちょっと右に寄ってる」
レイナ「それはわかんない!」
正明「だからこっちがハートの3で、もう一枚がダイヤの6か」
レイナ「……わー、すご」
正明「ふふん」
レイナ「……」
レイナ「え、ちょっと待って。マーサー。これ52枚全部覚えてるの?」
正明「一瞬で覚えた」
レイナ「すごッッ!」
正明「ちょっと盛ったわ。結構かかった」
レイナ「えええええ、それでも凄いよ。レイナは無理だよこんなの」
レイナ「ねえねえ、これは?」
正明「ハートのA」
レイナ「正解!」
当たり前だが、AやKなどの強カードは真っ先に覚えた。もちろん他の柄よりも識別しづらくなっている。

レイナ「へー、すっご。本当に覚えているんだ。ねえねえ、これって市販で売ってるの?」
正明「市販にもあるみてーだけど、市販のヤツはもっと分かりやすいしパターン一緒だから特注したのよ」
レイナ「わー……すごすぎてちょっと引いちゃた」
正明「んな事より今みたいに配ってくれよ」
レイナ「うん!」
しばらくマークトデックの練習に付き合ってもらう事になった。

しおり