第十八話『凡人故の構想と特訓』1/5
◆【自宅】
確率。その一点を問えばこの男。世界を相手に戦うオンライン界国内最強――藤堂真。
闇カジノ・裏カジノ。アンダーグラウンドの覇者と言えば誰もが口を揃える――須藤晃。
日本ポーカー史初の日本大会連覇を成し遂げた唯一の女性プロ――藤崎香苗
偶然にも名字に「藤」の漢字が入り込む事から"三富士"と呼ばれる日本のプロポーカープレイヤー三強。
プロポーカープレイヤー。協会が認定しているのは三富士に加え、もう一人。
彼らの前を走るその男こそ日本最強。
裏も表もリングもトーナメントもオンラインも対人も。
その男の前では全てが霞む。
ジャパンAHP杯第二回優勝
ジャパンAHP杯第四回準優勝
ジャパンAHP杯第五回優勝
第34回WSOP決勝進出
第38回WSOP八位
第5回CKRP杯優勝
第7回CKRP杯準優勝
第8回CKRP杯七位
20XX年日本ランキング1位
20XX年日本ランキング1位
20XX年日本ランキング1位(3年連続)
三よりも二。格の違いを表すようにプロを語る時には誰もがこの比喩を用いる。
"三富士"よりも"二階堂"
歴史の浅いポーカー界で世界プレイヤーと日常的にやり合うのは表の世界ではただ一人。
三富士と呼ばれる日本屈指のトッププロがその男の前では烏合の衆へと変わる。
表世界では唯一無二の国内最強のポーカープレイヤー。
世界上位100名のクラス保有者相手に国内唯一戦えるその男の名前こそ――
――二階堂春樹。
正明「随分大層な紹介なことで」
高木君から二階堂の紹介をしてくれと頼んだら、これだ。
正明「……」
ってことは、この最強さんをオレが倒せば、憂ちゃんなんて余裕ってわけだ。
で、奇襲を仕掛けてポーカー勝負に持ち込んだとしてだ。普段から札束持っている人間なんていない。
それは仮に億万長者である木葉であっても、ブルジョアのレイナであってもそんな金は、もとい"紙幣"は持ち歩いてはいない。
つまり日本最強であっても大金持ちであろうと、オレが全財産を突っ張る以上資金的に優位に立てる。
資金の有利はイコールで勝率の有利に繋がる。
もちろん、あくまで勝負を受けてくれる事が前提だが。
正明「……」
まず、最初の選択肢はゴールの位置。
最終的に欲しいのは金と経験値。
だが、対二階堂春樹においてはその前提にある"副賞"が加えられる。
『日本最強のポーカープレイヤーを倒した男』
その名誉こそが春樹と戦う何よりの成果と言えるである。
よって『二階堂春樹に竹原正明に負けましたと言わせる』事がベッドに乗せる必要がある。
口約束じゃなく、メディア。
テレビとは言わなくても、雑誌やラジオ。最悪ネット配信なんかでも十分。
ポーカー界は日本ではまだまだニッチ。
些細な情報でも人づてに発信を繰り返し拡散は期待できるだろう。
それを言わせた成果は何か?
千尋のような一般プレイヤーは怖いもの見たさも含め『あの二階堂に勝った男』と是非一度手合わせを、と思うタイプだ。
あのデスです女は頭が悪いが、根っこはオレと似ていてわかりやすい。
で、そのカモを相手にもりもり稼げれば――ってのが理想か。
以上の事からゴールは定まった。
・儲けなくても良い。
・どんな形であっても二階堂春樹に勝利する
・『日本最強の二階堂春樹を倒した竹原正明』を風聴させる。
以上。
って事は対等な勝負をする必要はない。
日本最強のポーカープレイヤー相手に貧乏学園生のオレが資金差で押し潰す。それが勝負のシナリオ。
正明「……」
理想はあくまで理想だが、それは置いといて問題はリスク。
二階堂春樹と接触することがロクさんに知れても大丈夫のように釘を刺した。
これでリスクはなくなった……わけではなく、もう一つ。
竹原正明の名が広まってしまう。
実は竹原正明という人物は清く正しく生きているにも関わらず恨みを持つ輩が多く存在している。
それらに正体が知れる……もとい、行動範囲や最悪住所が知られる事となると……。
……あれも嫌だ、これも嫌だでポーカープレイヤーは成せないだろうが。
その程度のリスクは飲み込め。
そうなったらなったで考える。
スケスケに終始一緒に居てもらう……或いはジャンと付き合うか……。


