第十七話『恐怖の裏が快楽へ』2/2
正明「ポーカーしようぜ。憂ちゃん」
憂「うんうんうん! それじゃあ今回はバイト一ヶ月にしようよ。じゃあ500万乗せるね」
正明「今じゃない」
憂「うん?」
正明「今はまだ、憂ちゃんに勝てないだろ」
憂「……」
憂「そんな事ないよ。ほぼ勝てると思う。うん。そうだね。99%に近い確率で勝てるよ。きっと!」
オレは未だにわからない。
オレと北村憂の差。
テキサス・ホールデムのゲーム性。
この答えが見つかるまでは、こいつには勝てない。
正明「オレは今から日本最強の二階堂春樹から金を絞ってくる」
正明「てめえはその次だ――北村憂」
ここに、宣戦布告。
分が悪い。どうせ勝てない。得策でない。頭が悪い。
――わかっているんだそんな事!
正直、逃げ出してしまいそうな、竹原正明としてあってはならない感情が抱き始めている。
だから逃げられないように杭を打つ。
憂「へー。春樹君知っているんだ。可愛い子だよね。くりくりしてて。なんか理想な後輩キャラみたいな」
反応はこれ。相変わらず相手にもされない。
正明「ヒヒヒ」
この温度差に苛つく事ができているうちは、まだオレは大丈夫だろう。
憂「春樹君と勝負するって約束してるの?」
正明「あー、その辺は適当に考えるわ」
憂「ふーん」
うんうん、といつもの調子で謎の頷きを繰り返す。
憂「あ、そうそう。春樹君に会ったら伝えておいて。ベル=ホワイトに近づいたら危ないよって」
正明「ベルホワイト?」
憂「危なーい団体があるの。甘い事を言って誘惑してくるの。ほら、例えるなら……」
憂「うーん、えへへ、浮かばないや」
正明「ほーん」
日本最強ってことはある程度金があるだろう。金があるってのはそういう輩が寄ってきているはずだ。
それなのにこうやって釘を指すって事は、まあ普通じゃないヤツなんだろうな。
正明「ま、とにかく。日本最強をボコってから、勝負な」
憂「えー。もう来てくれないの? 私正明君と遊びたいよー」
憂「それじゃあ次やる時はまたハンデあげるから、内容考えておくね」
正明「……ヒヒヒ」
ハンデくれ、とゴネるのは良い。
恵まれる事に、何故こんなにムカつくのだろうか。
ギャンブルだ。
少なくとも、オレはギャンブルをしているのに、だ。
憂「あー、緊張してきたな。次は絶対勝ちたいなー。うんうん。楽しみで寝れなくなりそうだよ」
憂「あ、見てみて正明君。このペニバン。あ、ペニバンって知ってる? ペニスバンドって言ってね。ディルドを固定したパンツみたいなヤツで正明君も女の子の快楽得られちゃうんだよ」
正明「それなー」


