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第七話『進藤&進藤』2/2

レイナ「初めまして、じゃないですよねー。うわー、前に会ったモデルさんじゃないですか。ヤバっ。足長ッ! いつ見てもプロポーションヤバいですねー」
奥菜「お姉ちゃんやめなよ」

そういやこいつ、進藤って……あー、なるほどな。
でもって位置情報でも飛ばしたって感じか。

レイナ「彼女さん凄く可愛いですよねー。ねえねえ、事務所決まってないならうちに来ませんか? 結構自由な感じでやらせてくれますよ!」
斬「え、あ、ご、ごめんなさい……ボク、あの……そういうのは、ちょっと、出来なくて……」
多分。うん。多分だけど、こいつセクシー女優のスカウトだと思ってるんじゃねーの?

レイナ「や~ん、リアクションも可愛いー! ねえねえ、でも本当に逸材だって」
奥菜「お姉ちゃんいい加減にして」
レイナ「ねえねえマーサー。どうしてこの子この家に居るの? もしかしてもうマーサーの毒牙(どくが)にかかっちゃった?」
斬「いえ、毒牙も何も……」
斬「……」
斬「マーサー?」
確認するように正明に視線が向くと、奥菜も同じ事を思ったらしい。

奥菜「え、お姉ちゃんこの男と知り合い? センス悪」
正明「あの、一周して尊敬します。よくそういうの本人目の前にして言えますね」
奥菜「私この人無理です。嫌いとか苦手じゃなくて、生理的に無理です」

レイナ「あはは、マーサーはオラついているだけで本当はすっごい優しいんだよ。私が酷いことされている時、助けてくれたんだもんねー」
斬「横からすみません。ボク事情一切知らないですが、それ勘違いだと思います」
正明「インザンてめえ」
斬「斬だよ」


レイナ「でも……へー。これがマーサーの家なんだ。すごーい。天井低ーい。あ、もしかしてもしかすると、これってトイレとお風呂一緒のアパート? すご~い!」
オレ、レイナ知ってるからさ。知ってるからアレだけど初対面なら今の言葉で殺されても文句言えねえよな。

レイナ「ねえねえ。中学の頃のアルバムある?」
斬「あ、ボクも見たい!」
正明「んなもんねーしあっても絶対見せねえし」
レイナ「恥ずかしがり屋だもんねー。ねえねえ。レイナちゃんみたいな女の子って正明君的にどう?」
奥菜「お願いお姉ちゃん。もっとマシな男選んで」
正明「なあ。レイナの妹そろそろ殴っていい?」
レイナ「こら。オッキー。めっ! めっ! するよ。めっ!」
奥菜「お姉ちゃん普段そんな可愛い言い方しない」
レイナ「マーサー。こいつ殴っていいぞー」
正明「人に言われるとやる気なくすんだよ」
斬「暴力はよくないからね」
ツッコまねえぞインザン。

だんだんごちゃごちゃしてきた。

レイナ「せっかくマーサーと会えたし、もっとゆっくりお話ししたいけど車も待たせているんだよー。夜も遅いし今日はのところはそろそろ失礼しようか」
正明「車? ッハ。過保護かよ。いちいち親が迎えに来るとか」
レイナ「あはは、そんな過保護じゃないよー。タクシーだよ」
正明「ッ!?」
タクシー……タクシーだと……!
TAXI……ッ!!!

斬「彼はタクシー恐怖症なんだ」
奥菜「え、なんでですか?」
正明「……」
なんだ? なんでコイツらは、タクシーの強さをわからない?

正明は人差し指と親指をくっつける『お金のポーズ』を作り、それを自分の左目にくっつける。
正明「……少年マンガの元ネタでさ」
正明「戦闘力がどんどん上がっていく絶望していくシーンとかあるじゃん?」
正明「600……720……840……960だとぉ!? みたいな」
正明「あれって絶対元ネタタクシーメーターだと思うんだけどどうよ?」
レイナ「あははははは! マーサーおもしろ~い!」
今のウケ狙いじゃないんすよ……。

つーかそうだった。こいつタクシーとか乗れる貴族だったな。

正明「あ、じゃあせっかくだからジャンも乗せてもらえよ」

斬「初対面で甘えるのはよくない。ボクは歩いて帰るよ」
奥菜「あの、是非ご一緒してください!」
斬「でも……」
レイナ「全然気にしなくていいよー。方向逆ならもう一台呼ぼうか?」
正明「邪魔だから帰れつってんだよ。察しろよハゲ」
斬「……」
レイナ「それで二人送ったら大人気アイドルのレイナちゃんが遊びに来ちゃうね」
奥菜「インターネットに書き込んでやる」
レイナ「最大の敵は身内だった!?」
奥菜「お姉ちゃんツッコミキモい。いつもそんな可愛いツッコミしないよね?」
レイナ「マーサー。こいつボコしてー」

◆【自宅外】
レイナ「それじゃあねー! 絶対遊びに来るからねー!」
奥菜「お邪魔しました」
それから進藤姉妹は嵐のように去っていった。
斬「インザンは残ったよ」
はい苛ついている~。でも暴力はよくないからねー。
正明「チッ。一本だけだからな」
斬「いらない。あとそれボクが買ってきた」

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