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第一話『闇の商人、交渉術』2/2

木葉「誰がいいかしら。こういうのはあいつかしら」

おもむろに取り出した携帯を操作するとそこに置く。発信音が鳴るようにスピーカー設定でコールが響き渡る。



木葉「あたしよ」

白田『はい。白田です』

木葉「ねえ。WSOP当日にゴールデン……なんだっけ?」

ショーン「世界で最も実力のあるエリー・ゴールデンです」

木葉「だ、そうよ。そいつ呼んだら嬉しい?」

白田『相変わらず唐突ですね……エリー・ゴールデン、それは、はい。もちろん話題性としては抜群ですが……』

白田『彼女はとにかく金額が高い。世界的に話題にするにはもってこいですが、来日させるだけとなると……』



なるほど。どうやらカードだけは本物らしい。

それさえわかれば十分だ。



木葉「おい。そいつ歌わせろ」

ショーン「もちろんでございます。風雪様のためであれば私の力を持って必ず」

木葉「ってことなの。どう?」

白田『はあ……それは、とても凄いことだとは思いますが……』

木葉「あっそ。じゃあ呼ぶわ」



一方的に連絡を切ると黒服にアイスを持ってこいと指示する。

ショーン「……では、成立、ということでよろしいのでしょうか?」

木葉「ん? あんたまだいたの? 帰っていいわよ」

ショーン「風雪様。後になって、聞いていないなど反故されては困りますので、書面を作成することは可能でしょうか?」

木葉「キニーに作らせておくわ」

ショーン「……」

ショーン(出たな、キニー・ブラウン)



何故キニー・ブラウンほどの男がこの少女を遣っているのか。その疑問は尽きないが今はそこじゃない。



ショーン「それなんですが、今回の話し。あの男には相談しないで頂きたい」

木葉「なんであんたが決めるのよ」





◆【キニーの部屋】

★キニー&ゴドウィン(立ち絵のみ)

ショーン『実は私、キニー・ブラウンとは犬猿の仲でして。今回の良いお話は私と風雪木葉様だけの秘密にしたいと思います』

木葉『ふーん。どうでもいいわ。ただ、あたしは契約書の知識がないからサインしないわよ。他の役員に書面を確認する場合、日本語の契約書も必要になるわ』

ショーン『はい。それはもちろんこちらで用意させて頂きます』





◆【木葉自宅】

ショーン「それでは、互いに5名のプレイヤーを選定する。それらが優勝すれば倍の出演料。風雪様側が勝利すれば全額私が負担させていただく」

ショーン「さらに! 開会式ではスーパースターのエリー・ゴールデンの生歌。日本初! これはどういう結果になっても、お約束致しますね」

木葉「……」

暴君の神経を逆撫でたのは、果たしてどこなのか。



木葉「やっぱりイヤよ」

木葉「あんたの顔がムカつくわ」

ショーン「は……?」



木葉「そうね。あたしが勝ったら1,000,000USD払いなさい」

ショーン「いやいやいや、風雪様? それはないですよ。そもそもこのトーナメントの賞金と同額で、それにこの大会の優勝は風雪……」

木葉「あんたの陣営とやらが優勝したら10倍出すわ」

ショーン「はあ……ですから流石に……はあッ!?」

木葉「10,000,000USDよ」



レイズされる。

とんでもない金額が、とんでもないスピードで。



1USD仮に100円としても日本円に直して10億。

口約束や思いつきで進んで良い金額ではない。





木葉「不服なら帰りなさい。エリーなんとかも別にいらないわ」

ショーン「……!」

ショーン・ソッレンティーノは思考する。

エリー・ゴールデンの出演料は200,000USDと言っている。

失敗すれば1,200,000USD……正直、最悪のケースとなればかなり痛い。



だが、

ショーン「……」



リスクを考えても、いや、リスクなんて参加者に被らせばある程度は分散できる。問題ない。



十倍だ。

十倍だと。

自分が勝てない可能性が十回に一度以下だと思っている自信の表れとでも言いたいが、これはただの過信だ。いやいや驕りか。



ショーン(いやいやいやいや、それも可哀想。何故ならこのガキは、俺の駒を知らない)



ならばむしろ、こんなチャンス二度とないだろう。



何故なら、こちらの駒は――ッ!



ショーン「わかりました。風雪様がそう仰るなら、そのお話謹んでお受け致します」

ショーン「その代わり――誰が相手になろうとも、いえ、別に風雪様の勝利を疑っているわけではないのですがね。私ほど顔が広くなれば……」

木葉「うるさいわねえ。話しまとまったでしょ。消えなさいよ」

ショーン「……ふふ」



所詮は、子供。

せいぜい後悔するがよい……ッ!



木葉(今日はうどんの気分ね……)

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