第十三話『これぞまさにポーカープレイヤー!』1/9
◆【WENS CASINO】
日本には数少ないプロポーカープレイヤーの称号を持つ者がいる。
その名をJPSP。
現在登録される男女四名のプロは頂点である二階堂春樹を筆頭に数々の称号や実績、輝かしいトーナメント経験を誇っている。
そのJPSP保有者で唯一オンラインを主軸に活動するプロポーカープレイヤー。
藤堂真36歳。
大なり小なり運が絡むトーナメントとは異なり、オンラインではトータルでの打ち方が問われる。
よって勝率が安定すれば、確実に稼ぎ続けることができる。
何故ならテキサス・ホールデムの特徴として、多面プレイが可能であるからだ。
2面や3面ではない。従来のボードゲームの常識を大きく塗り替え、5面~10面と同時プレイを行なうこともある。
よって単純にポーカーの実力差表す指標はオンラインと声を挙げる人も多く、故に日本最強はこの藤堂真を推す声も少なくはないが、本人までもが自分ではないと弁えている。
対人経験が何よりも乏しい。
強者との対戦となれば日本国ならばそもそも相手を探すことすら難しい。
"裏社会最強のポーカープレイヤーがいる"
その噂を嗅ぎつけてやってきたのはここWENS CASINOへ。
真「……」
ラシェル「ん? どうしたの? お腹でも痛いのかな?」
なるほど――強い。
ポーカー後進国と揶揄される日本。
それは競技人口の少なさから表される指標で、時間が経てばクラス保有者も続々と日本から排出されると信じて疑わなかった。
実際クラス保有者と畏怖される相手であろうが自分が劣るわけないと誰もが自信を抱いていた。
しかし相手はそういった大物でもない。
ただの地元で有名な打ち手程度の者。本当に強いならもっと危ない場所で打っているはずだ。
その程度の相手のはずなのに――
真「コール」
カードがめくられる。
フラッシュ狙いが失敗した真に対し、ラシェルのツーペア。
ラシェル「ボクのカードを見るのに十万円払うんだ。流石お金持ちの人だね」
真「お喋りな子供だな。マナーが悪い」
ラシェル「喋りたくもなるよね。下手くそが一々時間使ってさ」
カードが配れる。
ハンド二枚の段階で全てのチップを中央に入れるラシェル。
ラシェル「ほら。どうせ長考するんでしょ?」
真「……」
フロップ前のオールイン。
低レートや遊びのプレイヤーが時折見せる駆け引きを拒否した手。
そんな低俗な打ち方すると思えば、逆にひたすらコールでついていく場面も見た。
ラシェル「無口なおじさん。マナーが悪いね」
真「……」
ラシェル「ポーカーは知っているみたいだね。少しだけね」
ラシェル「ねえ。その程度でそういう素振り。やめた方がいいよ」
ラシェル「勘違いしちゃうから。実力者みたいだねって」
真「……」
真はオンラインで無類の強さを誇る反面、対人戦が弱い。
厳密にはここ一番という大勝負に勝ちきれない。
それは集中力や、体力が課題とも思ったが、実際にこういう相手を目の当たりにするとテーブル上でのトークも駆け引きの一つになる事を改めて学んだ。
結局真はカードを捨てた。


