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第十一話『青春! スクールライフ!』1/5

◆【職員室】
教師1「あ、ああ……嗚呼あああ……」
残り少ない髪の毛を掻きむしるベテラン教師。
それもそのはず、来たるべきXデーがやってきた。
薬物中毒者のように胃薬をボリボリと食べる姿を見ても、誰も声をかける事をしない。

――もうこの男は助からない。

新人教師「今日は野球ないから仕事終わりに飲みに行くぞー」
教員を聖職者のように自負していた志も、たった数ヶ月で見事に忘れて仕事終わりの楽しみを探す新人教師。

理事長「……」
円形脱毛がクレーターのように広がり帽子を手放せなくなった理事長。

Xデーとは何か?
この日、とある生徒の復学届けが正式に受理された。

教師1「終わりだ……オレはもう終わりだ……」
鏡望代の復学届けが受理された日であった。

本日より、地獄の門が開かれる。

◆【校庭】
△【イベントCG029・生徒会の持ち物検査】
風雪学園にも生徒会がある。
風紀を正す。

学園に通う生徒がより良い学園生活を送るための組織である。
学園としては自主性を育てるために顧問はおらず、代わりに潤沢な予算が当てられる。

そうなると心無いダレかが悪用するのではと考えそうだが、温室育ちの現代人は善意で行動を行っていた。

この日は抜き打ちの持ち物検査が行われた。

生徒会「あなたは先日無許可でグラウンド遊んでいた生徒ですね」
男子生徒「は? そうだけどなに?」
通常はごめんなさいと煙たがる生徒会の存在に対し、本日始めての反発した生徒が現れた。

生徒会「グラウンドの使用は生徒会への許可申請が必要です」
男子生徒「意味わかんねえ。校則のどこに書いてあるんだよ」
生徒会「校則には記載していません。こちらは生徒会の裁量で決定できる事項です」
生徒会「アナタがグラウンドで怪我をしたら責任問題になります。その責任があなたに取れますか?」
男子生徒「取れますかって……怪我したらオレが痛いだけじゃん」

そのあまりに低い解像度に、ため息を漏らした。

生徒会「アナタは何もわかっていませんね。もし大怪我をした場合、教師や我々が釈明しないといけないと言っているんですよ」
男子生徒「はあ? なんでお前みたいなタダの生徒が偉そうにしてるんだよ。意味わかんねーよ」
生徒会「あなた程度に意味を理解できるとは思っていませんが、ルールですので従って頂きます」
男子生徒「いい加減にしろよ! お前らなんか自分が丸め包めるヤツにだけ偉そうにしてさ。ルール破ってる問題児なんて山ほどいるだろ!」
生徒会「……」
まさかこの風雪学園にここまで頭の悪い生徒がいるとは。

生徒会「みんな破っているから私も破っていいと。社会に出たらそんな戯言は通用しませんよ」
生徒会「そういう品性の無さがこの学園にどういう影響を与えるかあなたにはわからないんでしょうね」

正明「あー……二日酔いだわ。頭痛え……」
左手に火の点いたタバコ。右手にはカバンでなく赤ワインを持って歩くのは史上最悪の問題児。

副流煙をまき散らせながらずんずんと近づいてくる。

男子生徒「……なあ」
生徒会「見えません」
男子生徒「それズルいだろ。いやいやいや、絶対見えてるだろ」
生徒会「……」
生徒会「今はアナタの話しをしています。制服もちゃんと着こなしてください。シャツがはみ出ています」
生徒会「そういう身だしなみが風紀の乱れで一番ダメなんです」

そこに颯爽とながーーーーーーい車が現れると急ブレーキをかけて校門の前に停車する。
黒服「到着しました」
宣言と同時にドアを開けると、中には風紀の乱れとして一番ダメな、というかそれ以前のパジャマ姿で眠る金髪幼女。

もとい、生徒兼学園長様。

男子生徒「……」
生徒会「……」
黒服「風雪様。学園の時間です」
高橋「下ろせばいいじゃん。床に眠らせたら起きるって」
黒服「勝手な事を口走るな高橋。新入りは黙っていろ」
高橋「へいへい。今の時代って子供甘やかせすぎだと思うんだけどね」
黒服「高橋!」

木葉「んー……なによ、うるさいわね……!」
よたよたと立ち上がる。
まぶたが開かないでふらふら歩いていると、持ち物検査しているテーブルに足をぶつけた。

木葉「痛……なによこれっ!」
生徒会「ひぃ!?」
木葉「あんたね。ふん誰よあんた」
木葉「おい。こいつ退学」
黒服「了解しました」
生徒会「そ……な……」

斬「木葉。そういうのは良くない」

暴君に向かって注意する。
それはつまり命を失うに等しいのだが、声をかけられた本人も相手を理解しているのか明るい笑顔を見せた。

木葉「斬! おはよう。あんたも今日は学園に来たのね!」
斬「うん。学園は毎日登校するものだからね」

斬「それより退学なんて軽々しく口にしてはいけない。きっと困ると思う」
木葉「違うわよ。こいつがあたしの邪魔だったの」
斬「ちゃんと朝に起きない木葉が悪いと思う。ほら、パジャマのままだと笑われちゃうよ」
木葉「あはは。どこにこの風雪木葉を笑うバカがいるのよッ!」
正明「わははははは! 園児がパジャマ着ていると思ったら木葉かよ」
木葉「誰がパジャマでオジャマよッ!?」
正明「やめろ!」
正明「ってなんでツッコミが二人いるんだよ!」
斬(どっちもボケだと思う……)
大騒ぎしながらも、三人は学園に入っていった。

生徒会「はあ、はあ、はあ……」
男子生徒「あの……すみませんでした。生徒会の人も大変なんて知らずに、その……」
過呼吸を整えながら、人の優しさを知った。

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