第七話『クラス保有者の実力』2/5
テキサスホールデムの人口は世界一億人を突破した。
その最上位と言われる100名。
それを"クラス保有者"と呼ぶ。
入れ替わりが激しい狭き門をくぐり抜けた猛者達。
ポーカーは読み合いや確率を元にしたゲームであるものの、運の要素が絡むため乱高下は激しい。
それでも上位に位置し続ける特別なプレイヤーが存在するのもまた事実。
ペーニャ「……ッ」
チップの山を築き上げるのはクラス保有者のペーニャではない。
『WENS CASINOに巣食う魔物』
男か女か、中性的な見た目のあどけなさが残る幼い外見の人物は、涼やかに言い放つ。
ラシェル「調子はどうかなお魚君。ああ、そっちのお魚君ね。聞いたよ。ボクを倒すと息巻いているらしいね」
正明「男女(おとこおんな)。てめえは潰す。それは決まってんだよ」
その回答に満足そうに微笑む。
ラシェル「別にいいけどね。今日はキミより太ったお魚がいるから」
ラシェル「キミ、太ったほうがいいよ。ガリガリでしょ。ねえ、団地の子供ってさ。普段何食べてるの?」
安い挑発に乗るつもりはない。
それからもしばらくクラス保有者ペーニャとラシェルの攻防を眺めたが、傍目から見てもその実力差は如実に現れていた。
ペーニャ「Fuck!」
テーブルを壊す勢いで叩くと、そのまま帰っていった。
山岡「お、おいペーニャ!」
どさくさに紛れ、主催者も一緒に着いていく。
その光景を眺め、今日のポーカー教室の生徒も一人、また一人と去っていく。
残ったラシェルはと言うと、残念そうに息を吐いた。
ラシェル「早いお開きだね。ボクはポーカーを楽しみたいだけなんだけど」
ラシェル「キミはどうするんだい?」
正明「ッハ」
まだ――オレはこいつに届かない。
それは今打っていたゲームを見て思った率直な感想だ。
ラシェル「それがいい。小魚を食べるのは面倒なんだよね」
遠くはない。
近い内に――こいつは必ずオレ殺す。


