第十三話『弟子と師匠と友達と』3/6
◆【船上】
その後、金欠でテーブル見てもつまらないしブラブラと館内を散歩するが、面白いものはなかった。
というかレイナもはぐれたし……つーかマジでこれデカすぎ。
タバコもう一本もらいに行くか。
そう思い立ち、外に出た時だった。
ん?
音。
とてつもない音が、空から――!
バババババババババ!!!
戦闘機に見紛うその音はどんどん大きくなり、一瞬影が上空を通過し――。
ヘリコプターが、戦艦に着陸した。
……おいおいおい。
空母とか上段で言ったが、本当にこの船にはヘリポートが備え付けられていた。
ドアが開くと同時に昭和の漫画みたいに赤絨毯が引かれて……それが傾斜を計算したように、段差の上をキレイに敷いていく。
梨花「おーっほっほっほっほ! 道を開けなさい!」
瑞花「風雪木葉様のお通りです」
中から主が足を一歩踏み入れたタイミングで、白昼の大空に大きな花火が挙がった。
木葉「――待たせたわね!」
そのパフォーマンスに拍手喝采が巻き起こる。
……なんなんだよこいつ。
前々から思ってたけど、こいつ本当になんなんだよ。
黒服「おかえりなさいませ」
黒服「おかえりなさいませ」
木葉の手先につられて一般客も面白半分で木葉に頭を下げるモーセの十戒のように連なっていく。
その波がオレで止まったため、怪訝に思った木葉と目があった。
木葉「正明。今日はあたしのパーティーによく来たわね」
正明「いやお前主役ぶりたいのはわかるけど今来たじゃん」
木葉「あんた貧乏だから遊べないでしょ。おい、瑞花」
瑞花「はい」
こいつ相変わらず人の話聞かないよな。すげーよな。耳なし芳一……を使ってなんか文句言ってやろうと思ったけど何も浮かばなかったぜ!
瑞花「こちらを」
そうすると、金色の布に包まれた物を差し出される。
正明「あん?」
おー、と拍手が巻き起こる。
木葉「あんたみたいな底辺はお金出せば這いつくばるんでしょ? よかったじゃない」
梨花「よかったですねえ。木葉様のお恵みです」
正明「……おお!」
ハンカチのように被されているだけど、中身は……渋沢の束。
正明「あー、なるほどな。渋沢やるから這いつくばれっつってんのね」
木葉「ふふん。そうよ。これなら貧困層のあんたでも少しは遊べるでしょ」
正明「……ま、そうだよな。金もらったヤツは這いつくばらねーといけねえよな」
それもこんな大金だ。常人ならケツ穴舐めろと言われたらふやけるまで舐め尽くすだろう。
●【選択肢024:空から金が降ってきて】
A.ありがとうございますブヒィ!
B.――舐めんなよクソガキ
●A.ありがとうございますブヒィ!
正明「ありがとうございます! ありがとうございます!!!」
地面に頭をわしゃわしゃと擦りつけながら、風雪様を讃えた。
木葉「……別にそこまでしなくていいわよ」
木葉「ねえ。さっきから気になってたけどあんたの格好なんなのよ」
正明「釣りしてた」
木葉「つり……釣りね! いいわね! この風雪木葉がマグロ釣り上げてあげるわ!」
正明「はーーーー、これだから素人は。マグロなんてこんな装備で釣り上げられるわけねーだろガキめ!」
って高橋さんが言っていたもん!
木葉「ふうん。それならサーモンでいいわ」
サーモン……サーモンぐらい釣れるかな。
木葉「案内しなさい」
正明「ほいほい」
その後釣りを楽しんで豪華客船を楽しんだ。
●B.――舐めんなよクソガキ
ダァン!
気温が下がるような突然の静寂。
木葉の足元に投げつけられる金色の布。
正明「金出してやったんだぜ――」
正明「這いつくばれよ?」
梨花「な……な……」
瑞花「……ッ!」
ダリア(へえ……なるほどねえ)
場が壊れた事に微笑んだのは二人。
ダリア・グリフィス。そして、
木葉「あはははは! 思い出したわ! あんた、そういうヤツだったわね」
木葉「――やめなさい」
黒服「……」
オレの左右から人の気配が引いたことで、初めて言葉の意味がわかった。
木葉「困ったわね。あたしの面子が潰れたわ」
全然困った様子はなく、むしろその反応を心待ちしていたようだ。
木葉「正明。あんた責任取ってくれるわよね?」
指す方向はカジノルーム。
木葉「あたしとテキサス・ホールデムで1対1の勝負。受けてくれるわよね?」
正明「ッハ。そういうのかよ」
このガキ、オレがルールも知らねえと思って……!
正明「上等だ。ぶっ飛ばしてやるよ」
静寂に包まれた観衆が一気に盛り上がる。
木葉「負けた方は……そうね。あんた金持ってないし、冬の海に飛び込むのはどう?」
正明「そりゃ木葉も同じ条件でいいんだな?」
木葉「当たり前じゃない」
正明「吠えたな――風雪木葉」
舐めてる――オレを。このオレを。
ヒヒヒ、バカが。ルールもわからない素人だと思ったかよ――!
正明「あん? 何してんだよメイドちゃん。早く洋服と浮き輪準備してやれよ」
正明「お嬢様が海にダイブするってさ」
梨花「ひ……ッ!」
木葉「あはは! なによ、やっぱりあんたってたまには面白いじゃない」
正明「いつもですっ!」


