第十二話『ゴミ袋を乗せた豪華客船』5/6
◆【海上カジノ】
ゲストとして招かれたのは3名。
日本4強。女性で唯一のプロポーカープレイヤー。藤崎香苗(ふじさきかなえ)
ジャンケット。ベル=ホワイト。
ゲーム王。世界ランク52位以内を意味するクラスQの称号を持つチョン・デホ。
それら泊を持つ強敵をまるで素人観光客同様に巻き上げるのは紫に包まれた伝説のポーカープレイヤー。
ダリア「レイズ700,000」
現ポーカー協会に所属する紫の魔女。
ダリア・グリフィス。
ホワイト「……ダウン」
一人、オールインをしていた客とぶつかる。ダリア・グリフィスのワンペアが、フルハウスに敗北し一般客にチップが渡る。
ホワイト「……」
勝者は100,000のチップを手にするが、敗北したダリアはホワイトを降ろした400,000のチップを手にする。
チップタワーがまた増長する。
鬼に金棒。強者がチップを持つと手がつけられなくなるのがこのゲームの最大の特徴。
一人、損切りをして席を立つとその空いたスペースに着席する一人の少女。
千尋「よろしくです」
ダリア「千尋……? どうしてここに?」
千尋「ポーカープレイヤーだからです」
十万円で受け取るポーカーチップでいつものチップアクションを見せつけた。
千尋「手加減してあげないです」
ダリア「おやおや、怖いねえ」
◆【船上】
高橋「うらあああああああああ!」
正明「うおおおおおおおおおお!」
高橋「はっはっは!」
正明「なにこれなにこれ!? ジュゴン!?」
高橋「ジュゴンなわけねーだろ。カワハギだよ」
正明「すげえー!」
これで高橋さんが6匹目。オレが3匹。損得抜きで面白くなってきた。
高橋「うーん、クーラーボックスに入らねえし、そろそろ終わるか」
正明「ああん? おいおい、これからだろ」
高橋「しょうがねえなあ。捌いてやるか」
正明「え、これ捌けるのかよ」
高橋「ひひひひひ」
携帯ナイフをペロリと三下の悪役のフリをする。
クーラーボックスをまな板代わりにするとその上に魚を寝かせる。
高橋「エラのほうから中骨切って口とヒレを落とすだろ? ほとんどの魚がこの殺し方だが、こっからがカワハギの面白いところだ」
高橋「ほら、名前の通り指で皮を剥げるんだよ」
正明「おおおおおお! なんだそれ!?」
高橋「そんで頭落として、指で引きちぎると……ほれ! あとは中身食べやすいようにして醤油で食えるぞ」
正明「うおおおおおおおお!」
すっげ! 釣りすっげえ! なにこれ食費無料じゃん!
そして携帯醤油をそのまま……って醤油まで携帯してるのかよ。
魚がかかるまで捌いた魚を二人で刺し身で食べていたが、昼食をがっつり食ったせいであまり食は進まなかった。
高橋「これ以上やっても意味ねーぞ。入らねえからな」
正明「チッ……役立たずめ……」
高橋「おじさんさあ。ちょっとぐらい感謝されるかなーって期待しちゃったよ」
正直今日でメチャクチャ高感度上がったけど(※当作品に高橋ルートはありません)
こっちだって、釣れない釣りに意味はない。
って言うなら、実りのあるカジノに足を運びたいのは山々だが……。
正明「今日は持ち合わせがねえんだよ……」
高橋「……」
高橋「あー、わかったよ!」
観念したように財布を取り出すと、そこから一枚出てきた。
高橋「ほら。遊んでこい」
正明「……」
千円。
千円札だ。
手取り16万円の男からの、千円。
千円で、こんなに偉そうに……。
正明「……ありがとな。絶対返すからな!」
高橋「おう!」
こんなに……クソ、こんな甲斐性なしに、釣具まで自費で出させて……。
オレが億万長者になったら、なんか美味いもん奢ってやるからな!
千円一枚握りしめて、賭場に飛び込んで行った。


