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第十話『キチガイに刃物』3/5

??「ぷっ、うわ!?」
正明「よう」
コンビニ購入した水をかけると簡単に目を覚ました。

正明「夜だけどおっはよーさん。元気かよ?」
??「……あー、なるほどね。オーケーオーケー。理解したよ」
??「いやー、あはは。派手にやられたねー。すごいね。治安悪いって聞いてんだけど、ああいうのってやっぱり結構頻繁なの?」
正明「軽口叩けるなら大丈夫だな」
腕を掴んで立ち上がらせる。
??「痛ててて……どーもね。助かったよ」
正明「全然助かってねーよバカ」
??「あはは、それ言っちゃう?」

中学生にしては筋肉の付き方が……もしかしたら同じ歳ぐらいかもな。
ってこんな深夜に街ふらつくぐらいだから、大学生ぐらいかもな。

正明「よそ者か? ここいらは治安悪いからあんま善意でほいほい行動すんなよ」
??「それ先に言ってよ。それにそっちはそう言うけど、キミだってこれ善意じゃないか」
正明「ああ。138円もしたからな。恩に感じて次あったら飯でも奢ってくれよ」
??「はは、オッケー了解。こう見えても結構稼いでるから任せといて」
??「今は財布ないけどね。ってあれれ。そういえばキミ、財布取られたのにお金はどこから?」
そうじゃないと、水を購入した辻褄が合わない。

正明「靴の中」
??「あははは! なんだよそれ。いじめられっ子じゃんか」
正明「ッハ。うるせーよ」

身分証の類は入っていないので追跡されることはないので最悪な状況ではないが……金パクられた時点でもう最悪だけどな。

??「ま、犬に噛まれたとでも思って忘れようか」
??「いやー、よかった。ホテル泊まってるんだけど、前払いで済んだのがせめてもの救いだね。帰れなくなっちゃうからね」
正明「帰りの電車賃とか大丈夫かよ」
??「うーん……ホテルにお金あったかなあ……」
正明「……」
ま、しゃーねーか。

5,000円で出した水のお釣りを握らせる。
??「……いいの?」
正明「全然よくねーよバカ。次会ったら飯にシャンパンとフォアグラとキャビア付けてくれよ」
??「あはは。オッケー任せといてー。お兄さんお金持ちだから良い飯奢っちゃうよー」

ふー、と息を吐くと少年、もとい小柄な男性は「あ」と何かを思い出したかのようにコチラを向いた。

??「そうそう。話は変わって、僕は人を探してこっちきてるんだけど知っているかな?」
??「"薩摩真司"って知っている?」
正明「薩摩……九州人か?」
鹿児島だっけ? とか思ったが知ったかぶって外したら恥ずかしいので黙っておくことにする。
??「そういうわけじゃないんだけどね。バリバリこっちが地元。で、すげー酒飲んでお姉ちゃんのお店が大好き。目立つ人だからすぐ見つかるかなーって思ったんだけどさ」
正明「あー、そういう知り合いが居るから、聞いておくといい」
正明「そこの道の右に曲がって、しばらく行くとコンビニがあるんだよ」
正明「そこ左に行くと"デュワデュワウルトラのチチ"ってオッパブがあるから。そこの店長の近藤ってヤツに聞くといい」
??「へー……ねえ。そういう所って一時間いくらかな?」
正明「財布ねーだろてめえ」
あーーー、と悲しそうに空を仰いた。つーかまだ学生だろ? もしかして社会人か?
稼いでるとも言ったし、そうなると随分童顔だな。

正明「なあ。お前財布にいくら入ってたんだ?」
??「ん? んー……十万ぐらい?」
正明「……なんでそんな持ってんだよ。パチンコ帰りか?」
??「逆なんだよねー。今からまさに一勝負しようか! ってときにやられちゃったんだよねー」
あー……それはついてねえな。
つーかこの辺にいるってことはポーカープレイヤーかもな。

??「それじゃあ行くね。ちゃんと病院に行きなよ」
正明「おう。てめーもな。じゃなあ正義君」
春樹「春樹。キミは?」
正明「正しく明るいと書いて正明だ」
春樹「あはは、いいねそれ。鼻血出てるのに明るいって面白い」
正明「ッハ。うるせーよカス」
互いに笑い合うと、今度こそ春樹はフラフラと帰って行った。

さて……無駄な作業が増えたな。

ヒヒヒ。
しっかし散々だな。

デビュー戦のアミューズメントは北村憂にボコボコにやられて。
初めての裏ポーカーはラシェルに煽られて惨めに金抜かれて。

もちろんこいつらも殺す。絶対にぶっ殺す。
ただ、あくまで憂ちゃんもラシェルもルール内で戦った。

さっきのジジイは、禁忌を破った。
このオレに――舐めた真似してくれたな……!

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