第八話『曲者、千田千尋』3/4
◆【別棟】
正明「おーい」
女生徒「はい」
出入り口のすぐ近くに居る生徒に話かける。
いねえ……別クラスか?
顔は覚えている。薄い狐顔だ。
昼休憩の終わりがてら。移動教室じゃないならここで騒げば廊下一帯には伝わるはずだ。
騒げば。
小学生じゃあるまいし、奇声を挙げるほどガキじゃねーっての。
とは言え、この別棟は"アイツ"が生息していた。
女生徒「何か用ですか?」
正明「あー、用ってほどじゃねーんだけど、望代いる?」
全員「ッ!?」
何気ないその一言に、教室のほとんどの生徒が振り返った。
正明「鏡望代だよ。あのクソみたいなメンヘラ女」
女生徒「鏡さん……?」
女生徒「鏡、鏡望代……かがみもちよ……」
女生徒「誰ですか?」
女生徒「みちる! 現実から目を背けちゃダメ!」
女生徒「何を言っているんですか? 私は鏡さんなんて知らな……知ら……あ、あぁ……」
女生徒「ちょっとあんた! なんのつもりで……」
よしよし、流石クソメンヘラ。人間以下の評価は騒ぎごとには助かる。
男生徒「ま、まさか……竹原正明なのか……?」
女生徒「ウソ!? 麻薬密売人!?」
男生徒「男版鏡望代!」
女生徒「西暮のブローカー!?」
男生徒「うわあ! おい誰か! なんとかしてくれ!」
正明「……」
さて、っと。
正明「今、このオレの事を男板鏡望代って暴言吐いたヤツ前に出ろ」
女子「なんか騒ぎヤバくない? うわ、なんだろ」
千尋「どうでもいいです」
女子「千尋マジクール。もっと関心持ちなよ」
千尋「意味わかんないです」
正明「おっらあああああああ! 舐めんなよクソガキ共!」
男生徒「お前同学年だろ!」
女子「冗談抜きでヤバめじゃね? すご。ガラス割れてるよ」
千尋「うるさいのは苛つくです」
視界にも入れたくなかったが、騒動の中心人物であろう男に目を向けると、
千尋「……ッ!」
千尋(あいつは……!)
男生徒「出ていけ邪悪な権化め!」
正明「てめえら顔覚えたからな! 毎朝靴の中にGの死骸がねーか怯えるんだな!」
女子「うわ、ヤバイ人だ。凄い捨てセリフ吐いて逃げてったよ」
女児「って千尋!? どうしたの?」
千尋「……ッ!」


