第八話『曲者、千田千尋』1/4
◆【通学路】
『どこの店に行くのも自由だが"Queens"だけはやめとけ』
『伝説のポーカープレイヤー、ダリア・グリフィスが行き来している噂がある。オーナーは日本で4人のみプロの名を持つJPSP保有者須藤晃。日本人では間違いなく地域最強』
『忘れちゃならないのが女ディーラー。Queensに可愛い女の子がいるけどこの子も曲者』
『現役学園生だけど、この子が滅法強い』
『名前は千田千尋。進学校の風雪学園に在籍しているって噂だ』
『それから、手始めに仲良くなった方がいいのは……』
ヒヒヒ、昨日の今日で律儀じゃねーか高木君。
しかし日本のプロだの伝説のポーカープレイヤーだの大層なゲームじゃねーか。
まんま欲しかった情報にズレがなく、嬉しく思っていた。
それでいて早速重要な情報に食いつく。
千田千尋。
正明「……」
千田千尋……せんだちひろ……どっかで聞いたことがある?
にしても、まさかオレと同じ学園とはな。
事前に気付けたは幸運だった。
こっちが学園生とバレるのは最悪だ。
どういうリスクがあるのか、想定するのも面倒。
逆に言えば前情報はデカイ。バレなければいいのだ。
忠告通りQueensだけはやめとくか。
正明「……」
しかし、今オレの知名度はポーカープレイヤー達には皆無だ。
麻雀で相手が女性だったことも無いことないが、それはカモの連れの女が同席しただけ。ジャンのような生粋な力のあるプレイヤーはいない。
正明「……」
いや、カモよりも先にやる事があるだろ。
千田千尋。
同じ学園生のリスクを消さないといけない。
同じ学園にいる、女のポーカープレイヤー。
気になる。
◆【職員室】
正明「せんせー!」
可愛い生徒が職員室に足を運んだというだけなのに、誰も視線をあわせない。
しばらくすると、せっつかれるように新人教師が目の前にやってきた。
教師「な……なにかな、竹原君」
正明「せいとめいぼを見せてくださいー」
教師「そ、そんなもの見せれるわけないだろう。個人情報は守らないと」
こんなに可愛く言ってやったのにダメなのかよ。
よーーーーし、そっちがそういうなら……と、エンジンを掛けようとした時に、ちょいちょいと奥に来いとジェスチャーが入る。
教師「いいかい、繰り返すが、私は教師として絶対にそんなものを見せるわけにはいかない。絶対にだ。ここに生徒名簿はあるが、絶対にそんなものは見せられない」
教師「よーし校内の見回りに行くか」
そういって冊子を机の上に置くと、職員室から出ていった。
正明「……」
大人ってのも大変なんだなあ。
望みの品を物色する。
千田、千田……せんだ? あ?
ちだ、か。ちだちひろ、ね。
『チッチーと呼んでください』
正明「……!」
はいはいはいはい……あいつか……。
あん? あの程度の女で、曲者だあ?
おいおい拍子抜けだな。あれで上位とかポーカーで頂点取るのも案外簡単かもしれねーな。
クラスは……あー、別塔か。どうりで見ねえわけだな。
んー……さて。どうしてものか。
WSOP。
参加料100万円。10人1テーブルの予選・決勝を行い優勝者が総取りの1億。
実にわかりやすい趣向の大会だが……そうか。千田は木葉と仲良くなればこれが貰える可能性が高いと知っていたのか。
正明「……」
認識を変えなきゃいけねーかもな。
木葉が学園に来てからやりたい放題していたのは周知の事実。
そんな暴君相手に、友達になればお溢れを貰えると判断をしたってわけだ。
散発的(さんぱつてき)な金使いをする木葉を見抜いたか、もしくは自分なら金に近いものを恵んでもらえる処世術への自負か。
とにかく、こいつは目利きは良い。
つーか、木葉って思っていたより活用できるのか?
ま、そもそも論をすると何をするにも軍資金が心許無い。
さて……。
斬「……」
△【イベントCG036・ラブレターに驚く乙女】
斬(職員室で堂々と何をやっているのかと思えば……うん。間違いない)
斬(ラブレターの返事だ――!)


