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結婚と追放

とにかく、怖くてたまらなかった俺は安息の地を求めて彷徨い続けるようになっていったのだ。
そんなある日のこと、街の中をぶらついていた際に偶然通りかかった路地裏から少女の声が聞こえてきたのだった。
何事かと思い様子を見に行くと、そこには一人の少女が男たちに襲われようとしていた。
咄嗟に助けに向かうと男たちは逃げていったのだが、その少女は俺に抱きついてきたのである。
急なことに驚いていたのだが、ふとその少女の姿を目にした瞬間、
嫌な予感が走ったのを感じたため咄嗟に声をかけようとしたが、
突然後ろから何者かに声をかけられてしまい断念することとなったのである。
振り返るとそこにいたのは女神様だったのである。
女神様は事情を知っていたようで丁寧に説明してくれたばかりか解決策を伝授してくださったのである。
しかし、その解決方法を聞いた俺の気持ちは沈んでいた。
何故ならそれはとても辛いことだったからだ。
だが、決心した以上やるしかないと思い実行することにしたのである。
それから数日後の事である……。
その日の夜、俺は覚悟を決めると指定された場所へと出掛けるのだった。
そこは街外れにある巨大な洋館であった。
一見すれば城のような風貌をしていて、まさしく貴族や王族が住んでいそうな屋敷という感じだなと思っていたら、
門のところに立っていた青年に呼び止められると名前を聞かれたので自分の名前を名乗ると、館内に入るように促された。
そうすると、背後から背中を押されてしまったのか倒れそうになり、
気づいた時には豪華な調度品が並べられた部屋に立っていたのだが、その奥に一人の女性が立っていたのである。
それが誰なのか、最初はわからなかったが彼女の服装を見て理解したのだ。
何故なら彼女はドレス姿で現れたからなのだが、問題はその胸元が大きく開いていて胸の谷間が見えるような服装だったからだ。
そして、彼女がこちらに向かって近づいてくるにつれて胸も大きく揺れていき、俺の目は完全に釘付けにされていたせいで、
気付かないうちに部屋に引きずり込まれていたのだ。
「あの、ここはどこなんですか?」
恐る恐る尋ねると、彼女は妖艶な笑みを浮かべながら答えた。
その言葉を聞いた途端、鼓動が激しくなるのを感じていた俺は思わず目を逸らした。
なぜなら、彼女の視線は俺の股間に向けられていることに気づいたからである。
恥ずかしくて、緊張して、今すぐここから立ち去りたい衝動に駆られていた俺は
どうにかしなければならないという焦りからつい口から言葉を発していた。
そうすると、目の前にいるリリアの顔が近づいて来たと思った瞬間、唇を奪われた挙げ句、 抱きつかれていた。
その瞬間、頭では必死に彼女を振り解こうと思っているが、何故か俺の心は悦びに満ち溢れていく一方だったのである。
やがて唇が離れると、お互いの唾液が糸を引いた状態になったまま見つめ合う時間が続いたのだが、
その間にも彼女の手は俺の身体を弄っていたせいで理性を保つことすら困難になりつつあった。
「ねぇ、あなたって誰から私のことが好きと教わったの?」
彼女がそう訊ねてきたので、正直に答えることにした。
そうすると、リリアは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに嬉しそうな表情を浮かべて抱きついてきたのだ。
背中に回された両手は、まるで蛇のように這いまわり、上下に行き来を繰り返しながら身体中を撫で回されると、
ゾクゾクとした感覚に襲われた。
しばらくされるがままになっているうちに段々と感じ始めていったところで、彼女は耳元で囁いた。
「やっと捕まえたんだから絶対に離さないよ? もうあなた無しの人生なんて考えられないぐらい貴方の事を愛してるの」
恍惚な表情を浮かべた彼女は、俺の顔を持ち上げると舌を差し込んできたので、こちらもそれに応じるかのように舌を絡め合った。
互いの唾液を交換し合うかのような激しい接吻によって蕩けきった状態で見つめ合っていると、
「私、あなたの事本当に愛している。あなたは、私の事をどう思うの?」
そう聞かれた俺は、迷わず答えた。
その答えを聞いた途端、彼女は微笑んでくれたので、俺も嬉しかった。
その後、二人で過ごしている内に段々と体が熱くなり始めたことを感じながらも、
俺は必死に理性を保っていたが、目の前で美少女が扇情的な格好でいる所為で、目のやり場に困っていた。
「どうしたの、こっち向いてよ」
そう言われたので、素直に従うと彼女は恥ずかしがることなく、こう言った。
「ねぇ、私を見て興奮しちゃったの? ふふっ、可愛いね」
と妖艶な笑みを浮かべながら言う彼女の姿に見惚れていると、突然抱きつかれてしまい押し倒されてしまった。
そして、そのまま馬乗りにされると身動きが取れなくなってしまった。
俺は必死に抵抗しようとしたが、何故か力が入らずされるがままになっていた。
「キスしましょうね」
「はい、喜んで」
そう言われたので、素直に従うことにした。
そして、唇を重ね合うと舌を入れられてしまった。
最初は驚きつつも受け入れていたが、次第に自分からも求め始めていた。
やがて息が苦しくなったため離れようとしたが、彼女は許してくれなかった。
それどころか、さらに強く抱きしめてきたのだ。
「私と一緒に農民をしてくれませんか?」
「は、はい」
こうして、俺は農民として生きていくことになった。
それからというもの、リリアとの幸せな日々が続いた。
毎日一緒に畑仕事をしたり、収穫した作物を使って料理を作ったり、
時には狩りに行ったりして充実した日々を送っていた。
そんな生活が続いていく中で、次第にお互いに惹かれ合うようになっていったのである。
そしてある日のこと、いつものように二人で過ごしていると突然彼女が
抱きついてきたかと思うとそのまま押し倒されてしまったのである。
突然のことに驚きつつも受け入れることにした俺だったのだが、彼女はこう言ったのだ。
「私ね、貴方のことが好きになっちゃったみたい」
そう告白された瞬間、心臓が高鳴ったのを感じた俺は何も言えずにいると彼女は続けて言ったのだった。
「だから、私と結婚してくれませんか?」
「はい、喜んで!」
俺がそう答えると彼女は嬉しそうな表情を浮かべながらキスをしてくれた。
「ありがとう、これからよろしくね」
そう言って微笑む彼女の顔はとても美しかった。
それから数日後のこと、俺はリリアと共に結婚式を挙げることになったのだが、
その最中で衝撃的な事実を知ることになるとは思いもしなかったのである。
それは、彼女が実は隣国の王女であることが判明したのだ。
しかも、俺との結婚は政略結婚であり、彼女の意思ではないことを知った俺は複雑な気持ちになっていたが、
それでも彼女と一緒に過ごせる幸せの方が勝っていた為、気にしないことにした。
そして迎えた初夜ではお互いに緊張していたものの無事に結ばれることが出来た。
その後も彼女との生活が続く中、ある日のこと、
隣国から使者がやってくると国王からの呼び出しを受けたので行ってみると衝撃的な事実を知らされたのだった。
なんと、リリアと結婚している事がバレていたらしいのだ。
その為か国王からは離縁するように迫られてしまったが、
俺は、リリアと離れる気など毛頭無かったので拒否すると、
国王は激怒して俺を国外追放すると言い始めたのだ。
しかし、そんな時、リリアが仲裁に入ってくれたおかげで事なきを得たのである。
それからというもの、俺とリリアは隣国で暮らすことになったのだが、
そこでの生活も幸せそのものだった。
リリアの両親や兄弟とも仲良くなり、充実した日々を送っていた。
やがて、俺との間に子供も生まれ、幸せいっぱいの家庭を築いたのである。

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