ドッペルゲンガーの対処法
UFOや地球外生命体、ツチノコを信じない人は多いだろう。
ドッペルゲンガーも、信じていない人の方が大半だった。得にドッペルゲンガーはオカルト的現象であり、科学的推測や発生条件や原因など多くが謎だった。はっきりしていたのは、ドッペルゲンガーと呼ばれるもう一人と自分と出会うと死ぬらしいということだけだった。
地球外生命体の存在は、こうして地球に自分たち人類がいるように他の天体に知的生命体がいるかもしれないということは容易に想像できる。ツチノコも、20世紀に新たに見つかった動物は存在するので、ツチノコがいるかもしれないという可能性は否定できない。
けれど、ドッケルゲンガーは現象である。どうして発生するのか、その条件や原因は不明であり、そう簡単に肯定できるものではなかったが、ある日、テレビの生放送中に、画面にしっかりと二人のアナウンサーが、映った。もう片方はすぐに消えたが、残った方は病院で死亡が確認された。すぐに警察が、不審死として検死を行ったが、心臓まひの自然死と診断された。当然、世間は騒然となった。テレビの視聴率が落ちているとはいえ、実際に人が死ぬ場面が放映されたのである。オカルト的な現象でも、実際に起きて、人々が目撃した。それから、ドッペルゲンガーの目撃者は急速に増えた。目撃者が増えるということは、それを見て死ぬ人もたくさん出たということだ。その数はどんどん増えて行き、ひどいときには、ドッペルゲンガーに出会って死んでしまった被害者の元に駆けつけた救急隊員が、その場で、救急隊員自身のドッペルゲンガーと鉢合わせしてしまい、駆けつけた救急隊員も死ぬという事件も起きた。
それは、どこにでも現れた。部屋の中に引き篭もっていても、いつの間にか、もう一人の自分が部屋に立っていて、それに出会ってしまったため死ぬことも珍しくなく。寝て起きたら、真横にもう一人の自分が寝ていて、目を覚ましたら、目があって死んでしまう。
避けようがなかった。だが、なんとかそれを回避しようと人々は、それの発生条件や原因を探った。対処法を模索した。
しかし、それを研究した人々も次々とそれと出会い、死んでいった。
とにかく、どんどんそれは現れて、人が死んでいった。
生き残った人々はいた。何も見えない全盲の人々だ。見えないから、それに出会っても気付かず、それを認識しなければ、死なないようで、障害者と呼ばれていた彼らだけが生きている世界になった。つまり、目が見えていた健常者と呼ばれていた人々が死滅し、障害者と呼ばれていた全盲の人だけが生きている世界になったのだ。