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第二話『楽しい学園生活』2/3

◆【職員室】
名門私立風雪学院。
それはそのはず、二年前まで偏差値県トップの館道学院を買収し名義が変わっただけなのだから。
カリキュラムや教師は同じであるゆえ当然風雪学園も名門を保っている。

そんな中、二年という浅い歴史で史上最悪の問題児が居る。
それも二人。正確には学園長そのものを合わせれば三人存在する。

一人は飲酒、喫煙、窃盗、暴力、恫喝と不良の基本要素はもちろん、麻薬密売から人身売買から国家転覆まで謀るあらゆる悪に手を染めたギャンブル依存症。

一人は憲法さえねじ曲げ己の気分で人を虐げさせ屈服させる。毛ほどでも逆らう意思を見せれば退学に加え親族全てが職を失うTHE・ファシズム。あろうことかこの学園の保有者である。

そして最後の一人は――鏡餅と呼ばれる小さな少女。

鏡餅の比喩はただの名前。
性は鏡。名を望代。

その小さな少女は虐めグループの標的に合い、登校拒否中というのが表向きの理由だ。
虐めに対しては世の中様々な見解はあるが、彼女に限れば傲慢な言動と他社を貶める行為から虐められる方も問題がある、その一点に尽きる。

"鏡餅に鉄槌を"
過去鏡望代を虐めのターゲットにした女生徒は多く存在しその全員が自主退学手続きが完了した。


新人教師「竹原正明"も"退学にさせませんか……」
既に力強さは無くなり、覇気のない言葉で呪詛の様に繰り返す言葉に周囲はまたかと失笑する。
新人教師「それがダメなら、私が辞めます……」
教師1「気持ちは分かるが、それは以前もう金輪際話しをしないと決めたじゃないか」
新人教師「はい……」
教師1「……君もこの数週間で素直になったな」

教師1「まあたかが生徒だ。いくら問題児といえど、こちらが余計な事をしなければそこまで危害は加えないだろう」
新人教師「あいつ……教師を舐め腐ってます……」
新人教師「二日酔いで登校して……歩きタバコで廊下を歩いて……授業中にパチンコ雑誌広げて……うう、ううう……」
教師1「無視だ無視。どうせ数年経てば卒業する」
教師1「全部出席をつけるんだ。間違っても留年なんてさせるな」
教師1「たかが生徒。大人が屈していたらどうしようもありませんよ」

理事長「あー、言いにくい事があります」
理事長「本日から2-E鏡望代さんが復学すると連絡がありました」
教師1「うわあああああああああああ!!!!!」
教師1「う、うわ……お、沖原君! ききき、君あhきょUから2-Eのtあん、たん、他人に、担任に、なったんんんん^~~^」
理事長「葉山君。心中察するが、引き続き頑張ってくれたまえ」
教師1「カッ……カハッ……か、過呼吸が……」
教師1「きょ、今日は、今日いきなりなんて……そんな……」
理事長「本日申請書が届いた。受理されるのは数日後だろう」
教師1「す、数日……よかった。余命が、数日ある……!」

理事長「……」
理事長「葉山君。君だけだと思うな」
理事長「沖原君も精一杯頑張っている。それに、私もだ」
理事長「まさかこの歳で円形脱毛ができるなんて思ってもいなかったよ……」
女教師「それは、学園長の……」
理事長「めったな事を口にするな。私は全ての権限を保有するこの学園の最高責任者という――雇われに過ぎない」
新人教師「あ、あの……その生徒は何者なんですか……?」
理事長「……」
理事長「いずれわかる」
教師1「匕……ヒィィィぃ!」

もうこれ以上何もわかりたくない。

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