病院の壁は意外に薄い
入院で体験した実話。
脳卒中で倒れた後、東京で手術を受け転院できるほど回復し、親を頼って地元名古屋の病院に転院。手術は成功でしたが、脳内出血の後遺症のため左半身に麻痺が残り、名古屋でしばらくリハビリ入院を続けていた頃の体験。
その時の病室が六人部屋の一般病棟で、リハビリをする以外暇で、ほとんど病院のベットでごろんとしている生活でした。ある夜、廊下を歩き回る足音が聞こえ、気になって眠れなくて、つい、病室の外に他の人を起こさないようにそっと様子を見に廊下に出ました。倒れた直後は麻痺でひとりでトイレに行けない状態でしたが、その頃はリハビリが進んで、一人で動き回れる程度にはなっていましたが、廊下に出てみると、足音の主はいませんでした。巡回の看護婦さんかと思ったのですが、うるさく感じるくらい、足音がしていて、つい廊下の様子を見に病室の外に出たのですが、誰もいませんでした。
念のため、その階のトイレも覗いてみましたが、誰もいませんでした。
仕方なく、そのまま病室に戻りました。
その足音を聞いたのは、自分だけのようで、翌朝、同室の他の患者さんは何事もなかったように過ごしていました。
それが、ある程度リハビリが進んで、これ以上のリハビリは、病院ではなく日常生活の中でやっていくしかないと退院の直前だったので、その足音を再び聞くことはなく、退院しました。
でも、誰もいないはずの廊下から足音を聞いたのは本当です。