第十三話『CRポーカー物語開会式』2/2
◆【リレイズ北村】
正明「……」
憂「え、えーとね……その……バイトって言ってもそんなにそんなにキツい内容じゃないよ?」
正明「……」
憂「もうほら。お客さんの対応とか色々だけど、ほらほら。ね! 大丈夫! 結構サボれると思うから!」
正明「……」
憂「……」
憂「実はその~……もうこっそり正明君に合うサイズの服オーダーしてたりして……」
正明「……」
憂「あ、その…あ、ごめんね。キモいよね。キモイね。なにやってんだろうねこの包帯女」
すげえ。
すげえ。マジすげえ。
テキサスホールデムポーカー。
ギャンブルだ。
麻雀と決定的に違うのは、アガらなくていいことだ。
敵を潰すんだ。金の圧力で封じて希望を見せて吸い上げる。
と、同時に金をエサに獲物を場に引きずり出して確実に殺す。
人を搾取することが一番合理的に叶ったゲーム。
今までやっていた。知識として知っていた。
だけど初めてわかった。
これが、テキサスホールデムポーカー。
金の怖さで、動けない。積み上がった莫大のチップに、ただ圧倒される。
憂「あ、でもね。一度だけ、一度だけ着てほしいかな……なんて……あ、その…写真も一緒に撮ってほしいかな…なんて…うーん、約束だからね! ね!」
正明「すげーよ憂ちゃん!」
憂「へ?」
正明「おもしれえ! テキサスホールデムおもしれえ!」
憂「……え、」
いい! すげーいい! ギャンブルだわこれ!
憂「あ……」
正明「これさ、今のチップ捌き教えてよ! こう持つじゃん。ジャン! んでそれでこう……」
憂「……」
正明「このパラパラ~って……おい、聞いてるのかよ」
憂「なんだろうなあ……」
憂「素直で気持ちで、さ」
憂「こういうのって嬉しいな」
正明「……」
憂「嬉しい……正明君」
正明「……ああ」
こいつがどういう気持でポーカーやってるか知らねーが……これはオレにとっても利がある。
――決めたわ。
△【イベントCG017・トランプとチップ】
正明「オレは、テキサスホールデムをやる」
正明「このゲームで、頂きに立つ」