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第八話『破り捨てるタダ』1/2

◆【商店街】
確かこの変に……あったあった。
【ラーメン屋】
『ハイパー金色ラーメン』
すげえよな。二回目だけどゴミみたいな名前だよな。
何故ここを選んだかと言うと、前回もらった割引券を使えば500円足らずで満腹になるからだ。
クーポン使えば塩ラーメン480円。替え玉無料ってことは、いくらでも。無限に食えるってことだ。

【ラーメン屋店内】
店員「いらっしゃいです」
正明「これで塩ラーメン頼むわ」
店員「ぅ……わ、わかったです……」
店員「店長! あ、こっちに座るです」
はいはい。この前の中国女か。

変なですです女だな。まあ日本語は難しいらしいからな。
ネットの情報を鵜呑みにしたバカの話によると、謙遜語とか敬語とかややこしいのがあるのは日本語だけらしい。
もちろんオレも敬語なんて使えない。ふ。何故なら竹原正明が一番偉いからな。
正明「……」
良いにおいがするなあ……。
空腹の時に食事を摂らないと、逆にもう腹が減らなくなるあの感じ。なんかもう身体が諦めたみたいな。
で、いざこうやって料理の香りで簡単に反応する。いやー、よくできるねえ人体。

??「竹原さん」
あ……?
正明「……」
誰だこいつ。この女に見覚えはない。
さあ、本日はIQ10,000を超えるオレの技を一つ紹介しよう。

正明「おーーーーー! すっげえ! 久しぶり! なんか雰囲気変わった? 可愛くなってない?」
正明「あの、ほら、前さ。あー、最後に会った時……えっと、最後に会ったのってどこだっけ、ほら……」
相手が一方的に知っている場合、こうやって少しずつ喋らせて情報を得るのだ。
??「私と竹原さんと面識ないです」
正明「は?」
??「有名人ですね。竹原さん」
正明「なんだてめえ。初対面で話しかけてきてんじゃねーよ消えろカス」
??「初対面でもないです。ここの店員でさっき話したです」
??「あの。竹原さんって風雪木葉のなんですか?」
……?
??「興味本位です。深い意味はないです」
正明「……」
カロリー不足で頭が回っていないオレでもわかる。これは興味本位の言葉じゃない。
風雪木葉の関係者……それなら、きっとどうなるのか。
これだけじゃ情報はわからないが、少なくともしらばくれても食い下がってくるだろう。

お……!
うっは、やべえ。さすがIQ100,000のオレ(一桁増えた)
正明「教えてほしいか? オレと。風雪木葉ちゃんの関係を」
??「はいです」
正明「あー、しっかしここは良い店だよなあ。餃子とチャーシュー丼大盛りとビール。きっと美味いだろうなあ……」
間を入れずに、1,000円札が二枚テーブルの上に置かれる。
正明「友達だ」
??「いつからですか。他に友達は居ますか?」
正明「1週間かぐらい前か。飯とかカラオケはこの前行ったぜ」
??「テキサスホールデムポーカーはするのですか?」
正明「テキ……なんだそれ?」
??「……」
??「うん。わかったです。一週間ぐらいですね」
??「私、千田千尋です。みんなからはチッチーって呼ばれているです」
千尋「風雪木葉さんの事を尊敬しているです」

ウソだな。

正明「へー。そうなんだ。あいつ意外に人徳あるもんな」
千尋「そうです! だから私も木葉ちゃんの友達になりたいです」

金だ。金。
二三会話を交えるだけですぐわかる。
目的は木葉のパイプか、人脈か、金に直結するなにかを欲してのアプローチだ。

千尋「餃子をちょっと多めにするように言っておくです。これはサービスですよ」
正明「ありがとな、千尋ちゃん」
あー、良いな。こういうわかりやすいヤツ。

北村憂もちょっとぐらい見習ってくれよ……。

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