第七話『これで万事OKね!』
◆【屋上】
木葉「斬、遊びに行くわよ!」
あんな出会いをした二人は、気付いたらカラオケに通うほど仲良くなっていた。
斬「う、うん……うーん……」
木葉「なによ。予定あるならあたしが片付けるわよ」
こうして木葉と付き合ってみてわかったのは案外暇ってことだ。
斬「そうじゃないんだけど……」
斬「……」
斬「木葉。ちょっと相談に乗ってくれるかな」
木葉「ふぇ? ……ふん。いいわよ! 幾らほしいの?」
斬「違う!」
木葉「大丈夫よ斬。あたしは風雪木葉よ」
斬「……木葉。そういうのは良くないと思う」
木葉「まあいいわ。それで、相談ってなによ」
斬「実はその……マサと、喧嘩……喧嘩? していて……」
木葉「なんで疑問系なのよ」
斬「マサがこの前女性と一緒に居るのを見たんだ」
木葉「あいつ本当にクズね」
木葉「わかったわ。死刑ね!」
斬「待ってくれ! まだ、その……」
木葉「斬、あんたバカなの? 自分の男が浮気して、ただの女友達かもなんて甘いこと言っているの?」
斬「え?」
木葉「ふぇ?」
斬「……」
斬「木葉。ボクはまだマサと恋人じゃないよ」
木葉「……?」
木葉「……ッ!」
木葉「わかったわッ! これは恋バナねッ!」
斬「ちがう、と、思う……?」
木葉「NTR(ねとられ?)……?」
斬「うん。恋バナで進めようか」
相談している斬の方もなんだか混乱してきた。
木葉「いいわ! 恋バナしてみたかったのよ。任せなさい。この風雪木葉が力になるわ」
何故か乗り気になってくれたので、せっかくだから話を進めてみることにした。
斬「この前、マサが女の人にいっぱい貢がせていたんだ。それも、マサの好みのじゃない長身の人」
木葉「ふんふん」
斬「それでその、二人で、ホテルに入ろうとして……」
木葉「ふんふん」
斬「……」
木葉「斬は正明が好きなの?」
斬「黙秘する」
木葉「わかったわ。斬。あんたは選ばれしこの風雪木葉の友人よ。あたしを頼れば何も問題ないわ」
斬「おお、ありがとう! ボクはどうすればいい?」
木葉「あんた男の趣味最悪だから、新しい男紹介してあげるわ」
身も蓋もない事を言われた。
木葉「正明なんて顔だけでしょ。あいつより顔の良い男に乗り換えなさい。これで解決よ!」
斬「木葉、ボクの話を聞いてくれ」
木葉「もしもし。あたしよ。ねえ。前に買収した芸能事務所があったわね。そこで顔が良い若い男性20人ぐらい呼びなさい。一人選ばせるの」
斬「木葉! 話を聞こう!」
でも男の趣味が最悪と言われても否定する気もない。竹原正明以上にダメな男性は知らないし今後の人生でも出会うことはないだろう。
斬「それにボクなんてデカすぎるから、全然モテないし、それはいいんだ。いいんだけど……」
木葉「180cmないじゃない。イギリスやオランダなら斬ぐらいの身長いっぱい居るわよ」
グローバルだなあ、と思った。
斬「話を戻そう。ボクはマサと仲直りしたいんだ」
斬「……」
斬「仲直りしたいんだけど、その……どうしたらいいかな?」
木葉(斬って面倒くさいのね)
とは思うものの、それでも木葉にとっては数少ない友人からの頼みだ。期待に応える以外の選択肢はない。
木葉「わかったわ。あたしから言っておいてあげるわ。これで解決ね!」
斬「……」
あ、これダメなヤツだ。
木葉「もう解決するわ。さあ遊びに行くわよ!」
その後二人でめちゃくちゃカラオケをした。