第四話『冷やされているのは化粧水』1/2
◆【自宅】
帰宅と同時にブーツを叩きつけてやったが、1秒後にはすぐに靴磨きを始める優等生であった。
正明「あああ……収まらん……怒りがくつくつと……」
正明「やっべ何言ってんだオレ。超つまんね」
ヤバい。これもアレだわ。言葉っつーかなんかもうマジでアレ。
ムカつく事がいっぱいあった。ぶっ殺したいヤツがいっぱい居る。大丈夫あいつらは全員必ず地獄に送ってやる。
それはいい。今はまだその時ではないから許してやる。
今日という日は色々反省会して思うところもあるが……それよりも飯だ。
今日は朝から何も食べていない。
△【イベントCG015・冷やされたのは化粧水】
と、冷蔵庫を開ける。そこには化粧水が冷やされているだけで食べ物はおろか飲み物もない。なんのためにお前は居るんだ冷蔵庫君。
靴磨きを終え、コートをかけてシャワーを浴びて。
――さあ、飯の時間だ!
と、冷蔵庫を開けて……。
△【イベントCG015・冷やされたのは化粧水】
当然、化粧水しかそこになかった。
正明「バカになってしまったんですかボクは……」
居間を見渡す。
そこに置かれたのは超激辛カップ麺。
食べれば一週間下痢になると言われる厚労省からストップかかっている危険な食べ物。当然こんなものは食べない。モチが来た時のトラップだ。
しかし家に食べ物はそれしかない。
正明「……」
まずは前菜。天然水道水カルキ入りで空腹を誤魔化す。
確か……ふ。あった!
財布の中にしまってあったガム。この前知らない女から貰ったものだ。
ふふ。まさにイケメンにしかできない芸当よ!
口に放り投げると1,000回は噛むと心に決めて口に広がるミントの味を堪能する。
正明「……」
つーかなんでガムなんだよ。男の気を引くなら松阪牛とかあるだろ。
そういや「まつざかぎゅう」だよな。ジャンは「まつさかうし」とか言ってたけど絶対「まつざかぎゅう」だよな?
あー……。
△『イベントCG010・ブランド袋の中身』
空腹が収まるわけもなく。
視界に移ったのは包装された紙袋。
そうだ。あの女の荷物持ちしてて、そのままジャンに追われて持ってきちゃったか。
今にして思えば、別におかしいことなんて無いんじゃねーの?
普通にコミュ障がリスクわからず賭場のキャッチやってました……どうせオチはそんなもんだろ。
そう思うと合点が行く。つーか普通じゃない、ってなーにが普通じゃないんだよ。オレは糖質かよ。
そう。そうだ。まさにこれは空腹が引き起こした悲劇。
きっと腹が満腹であればいつでも笑顔で、賭場では財布に入りきれないほどの渋沢を抱えて困ったな~とか言いながらニマニマしてて……。
正明「あああ……ガムがニマニマと……」
あ、本格的にヤベえ。これ頭回ってねーわ。
そうだよ。この荷物どうしよ。
スケスケにネットで売ってもらえりゃ金になるか……。
正明「……」
●【選択肢009:他人の買い物袋をどうするか?】
A.パクってスケスケに売ってもらう
B.泥棒行為はねえだろ
●A.パクってスケスケに売ってもらう
うおおおおおおおおおおおお!!!
金だ! つまりこれは商品じゃなくて金だ! 金!
正明「ヒヒヒ……はははははは!」
街を歩くだけで金に換える。スケスケじゃねーけどこれマジで錬金術じゃねーの?
良心の呵責とか知らないわけじゃない。オレも返したい。本当は罪悪感で心が痛い!
でもでもでもでも! もーこんな広い街でもう二度と会えないと思うんだ~!
くぅ~仕方ない! しょうがない! もー、ドジっ子なんだから~
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●B.泥棒行為はねえだろ
っは。
面倒くせえなおい。
ま、返さないとダメだろ。
金は欲しい。ウンコ食ったら十億くれるって言われたら多分オレはパクパクもぐもぐ食べるだろう。
正明「……」
ま、本音は多分食べないだろうな。
金が欲しいなら働けばいい。
それは、絶対にしない。オレは絶対に働かないしこれ以上小者になり下がる意味もない。
理想はやっぱ、ムカつく奴らから搾り取ることで。
この中になんか名刺とか財布とか紛れてれば……あれ、オレもしかしてなんか飯買わなかったっけ?
そんなことないのだが、今のオレは半分意識がバグっているので牛丼大盛を買って……とかねーよな。やっぱ。
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