第一話『嫌いな色は金色』3/4
◆【街】
死ね。死ね死ね死ね死ね。
クソ、クソが! クソがああああ!!!
なんでこのイケメンがこんな目に!!! 舐めやがってゴミ共がああああああ!!!
そもそも!!! なんで街中に平然とギャンブル施設が蔓延ってるんだ!? 狂ってるだろこの国。もう終わりだよこの国!!!
イライラする……すっげえーイライラする……ッ!
なんかねえか? イライラが吹き飛ぶ……あー、サンドバックがそういやマジで連絡ねえな。クソが。
『最高級和牛サーロイン16,800円』
正明「……」
こういうの食えたら、きっとイライラも吹き飛ぶだろうなあ……。
ヒヒヒ、今日をリセットできれば食べれたんだよな。
ああ……贅沢言わないから酒とタバコと女と肉と金が腐るほど欲しい……くそう……チクショウ……! なぜ慈善事業団体はオレに億単位の金を寄付しないんだ!?
正明「お」
木葉「げ」
正明「木葉ちゃん! 木葉ちゃんじゃないか! いやー、奇遇だね! お昼まだ? まだだよね? 一緒にランチ行かないかい? 奢ってくれる? いいの!?」
木葉「いくないわよッ! あんた会話何ターン進める気よ!」
正明「チッ……じゃあ消えろよ。今メチャクチャ機嫌悪いんだよ」
木葉「あたしビックリしたわ。こういうの日本語で底辺って言うんでしょ」
木葉「底辺ホスト」
正明「マジでそれ言ったら泣かすぞ……って言いたいがまあいい。オレは子どもには優しいから聞かなかったことにしてやる」
正明「ところで飯奢ってくれよ」
木葉「へー。日本にも居るのね」
正明「あ?」
木葉「乞食」
正明「ちげーよ。カツアゲだよ」
木葉「……あんた本当にクズね。消えなさい」
チッ……こいつ、肌キレイだな。きっと毎日美味いもの食ってんだろうな……。
木葉「どこ行くのよ」
正明「あ? てめえが消えろつったんだろ」
木葉「……」
木葉「なによ。別に奢らないなんて言ってないじゃない」
正明「……あ?」
木葉「ほら」
そういって足を差し出した。
木葉「舐めなさい。そうしたら奢ってあげるわよ」
正明「……」
このガキ……!
●【選択肢004:差し出された足を……】
A.なめる
B.なぐる
●A.なめる
煽ったな――小学生の分際で。このオレのベロテクに勝てるわけがないだろうが。
正明「せいぜい声を抑えるんだな」
木葉「ふぇ?」
ベロ。
木葉「アッ!」
ベロベロベロベロ
木葉「ふああああ!?」
ツツー……。
木葉「アッ、ああ……!」
チュ、チュ。
木葉「ひあっ!?」
正明「まだやるかい?」
木葉「う、く……もう、い……いや!」
木葉「ま、まだよ! 全然! この風雪木葉がこの程度で屈するわけないわ!」
なんで負けず嫌い発動してんだよ。
●B.なぐる
いやー、酷い! オレはこんないたいけな幼女殴りたくないんだけど! マジで!? うわー、もう最悪。あんた悪魔かなんかだよ。
でも神の意思が言うならしょうがねーな。心苦しいんだけどなー。
正明「もー。しょうがないなー」
木葉ちゃんの足元に入るように身をかがめてって、あー、くそー、これ幼女にアッパカットか。これは良心が痛むなー。
木葉「シャイニングヒザ蹴りッ!」
正明「ぐあああああ!!! 何をするうううううう!!!」
木葉「ふふん。知りたい?」
木葉「ヒザ蹴りよ」
正明「あーーっ、そー! へー、ふーん! 何もしてない善良な市民を、へー!」
木葉「あんたアッパーする気だったでしょ」
正明「まだ何もしてない!!!」
木葉「まだって自爆してるじゃないの……」
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木葉「まあいいわ。あたしもちょうど今からお昼だから奢ってあげるわよ。感謝しなさい」
偉っそうに。こいつもぜってージャンみたいに友達いないタイプだな。
そう言って指さしたところは、
『最高級和牛サーロイン16,800円』
おお……!
木葉「一度食べてみたかったのよね」
正明「え? 木葉ちゃんも?」
木葉「キモイ」
正明「あはは。木葉ちゃんはすっごく可愛いよ」
木葉「当然よ。行くわよ」
正明「うん!」
そして、和牛サーロインの隣にあるラーメン屋に入っていく。
正明「木葉ちゃん木葉ちゃん。お店間違えてるよ」
木葉「ふぇ?」
ちょんちょん、と和牛サーロインを指差す。
木葉「あたし今日ラーメン食べたいの」
正明「は? いやてめえふざけんなよクソチビ。まさかラーメンごときでこのオレに恩売ろうってのかカス」
木葉「美味しいらしいわよ。日本のラーメンはあたし好きよ」
『ハイパー金色ラーメン』
っは。くだらねえ。つーか金色って今一番嫌いな色だわ。
しかしまあどうしても奢りたいらしいのでば仕方ない。大人としてガキのわがままには付き合ってやらないとな。