第五話『飴ちゃんは持ってないで~』1/2
◆【グラウンド・昼】
私立風雪学園。
偏差値60を超える県内では数少ない進学校。
特徴を挙げるとすれば学費が私立の平均額のちょうど二倍近くで、代わりにプールや施設、教育にもかなりの予算を割いている。
また、一部の特待生に限り学費免除も珍しいが、最大の特徴といえばこれだ。
午前11時。授業中にも関わらず全校生徒300名を超える人数がグラウンドに出迎えする異例事態。
正門に黒く光る高級車が停車すると全ての人が息を呑んだ。
△【イベントCG005.我が学園長は風雪木葉】
理事長「足元にお気をつけください」
??「……」
降り立ったのはキレイなブロンドの金髪の少女。身長150cmに満たない外見からすると恐らく小学生か、もしくは中学生ほど。
日本人からすると北欧を連想させる碧色の目は全ての他者を下に見る傲慢さが伺える。
その少女は正門から敷地内全てを埋める人を一瞥するとため息を漏らした。
??「あんた、ご機嫌取りしてる暇あるなら働きなさいよ」
理事長「皆風雪様のご入学を心待ちにしているのだと思います」
なんでもいいけどね、とぶっきらぼうにつぶやく小さな少女。
彼女の名前は
あろうことか、この学園の"所有者"である。
理事長(竹原正明は?)
教師1(サボりです)
理事長(鏡望代は?)
教師1(サボりです)
いい歳した中年二人で小さく拳を握った。
ゆっくりした足取りでモーセの十戒の様に人の波をくぐり抜ける。
ほぼ全ての生徒は危害が及ばぬ様に下を俯く中、顔を伺う一人の女生徒が居た。
女生徒「……」
女生徒(こいつが風雪木葉ですか――)
噂は色々ある。
△【イベントCG046・モーセの十戒を歩くCK】
なんでもこの学園の保有者だとか、会社いっぱい持っているとか、財閥だとか貴族の血筋だとか、エリートの称号を数多く持っているようだが――それに興味はない。
興味があるのは称号。
この目の前を歩く小さな少女は頂点――通称"CK"
クラス保有者。
それも、世界最強13人の一人。
木葉「……」
女生徒「……ッ!」
気付くと、少女は目の前で立ち止まりこちらを眺めていた。
木葉「あんた、名前は?」
千尋「う……ち、千田千尋《ちだちひろ》です……」
木葉「ふーん」
木葉「もう忘れたわ」
千尋「……ッ!」
今は、何もできない。
なにもかも違う少女と自分では、その実力が偽物だとしても抗うことはできない。
だが――名前は意地でも覚えてもらうです。
お前は"WSOP"で倒すです。