第13話 お祭りになじむ『特殊な部隊』
「あー!こんなところにいた!」
小夏と同級生達が神前達の前に立ちはだかった。
「小夏ちゃん。誠ちゃんが少し話したいそうよ。あの作品の主人公が小夏ちゃんにはふさわしくないって言うのよ……なんとか言ってちょうだいよ。むしろ自分が男優として出演する日野少佐主演のポルノの方が良いとかまで……酷くない?」
そう言ってアメリアは軽く小夏の頭を叩いて立ち去ろうとした。
「兄貴、そりゃあないんじゃねえですか?アタシだって一生懸命演じたんですよ。それを今更アタシの演技が大根だなんて。それにあの装置を使えばどんな大根役者も一流の演技が出来るからってアタシは出たんですよ。そりゃああんまりじゃねーですかい、兄貴。それに市民会館でポルノ上映なんかしたら大問題ですよ。その辺まで考えているんですか?中学生にここまで言われるなんて、兄貴は小学生並みの知能ですね」
小柄な小夏はいつもかなめに向ける敵意のこもった目で誠をにらみつけた。
「別にそんなこと言ってないよ!それにあの撮影システムを使うとどんな大根役者でも見られる演技が出来るようになるって……いや、なんでもないです!それに僕はポルノが良いって一回も言っていません!全部アメリアさんの捏造です!」
そう言うと誠は小夏から逃げるようにしてアメリアの後に続いた。
「待ってくださいよ!アメリアさん!カウラさん!僕を一人にしないでください!」
誠は慌てて二人を追って走り出した。振り向けば小夏達も走ってついてきた。一本の社へ向かう道の両脇には店が並び、広場には屋台が出ていた。誠とアメリアのいつのの馬鹿な絡みを黙って見守っていたカウラは珍しそうにあたりを見渡した。